日本オラクルは1月30日からデータ同期ソフトウェアの新版「Oracle GoldenGate 12c」、ETLツールの新版「Oracle Data Integrator 12c」の提供を開始している。システム間のデータ連携をリアルタイムで処理することでビッグデータやクラウドなど巨大化、複雑化するデータを企業が迅速、効率的に活用できるよう支援する。
GoldenGateは、データベース間でデータの連携、複製、同期をリアルタイム似処理する。あるデータベースの内容が更新されると、それを即座に別のデータベースに反映する。
新版では「Oracle Database 12c」に対応し、新しく導入されたマルチテナントアーキテクチャに最適化している。このアーキテクチャでは、複数のデータベースを一元的に扱えるよう、数多くの“着脱可能な”プラガブルデータベースを1つのマルチテナントコンテナデータベースに収納できる。GoldenGate 12cは“コンテナ”を受け取り、どのプラガブルデータベースが集約されているのかを検知し、同期先のデータベースに伝達、渋滞なく同期できるという。
新機能「Integrated Delivery」を搭載、パラレル処理が自動化が可能になり、チューニングの設定作業の手間を大きく削減できると説明。「Coordinated Delivery」は、すべてのデータベースで使用可能な機能であり、SQLを使ってマルチスレッドでのオーバーヘッドが可能になるなど、データ連携性能を向上させたとしている。
セキュリティ面では、認証情報や暗号化機能の強化キーのセキュリティの向上、オラクル製品のインストール統合ツール「Oracle Universal Installer」の導入など各種機能を強化した。
Data Integratorは、データの抽出、変換、読み込みなどに活用するETLツールだが、独自の「E-LTアーキテクチャ」となっている。同アーキテクチャでは、データを変換するための中間サーバを必要とせず、データベース内の高速なエンジンを活用してデータ変換が高速になったという。そのため、中間サーバの分のコストを削減できるという利点もある。同社によれば、データベース専用機の「Oracle Exadata」とData Integratorを組わせることで、従来およそ1カ月を要していたデータマイニングが2~3日で完了した例があるという。
今回、ユーザーインターフェースをGUIにを改め、データ連携や変換処理のプロセスをイメージしやすい“フローベース”を取り入れ、より直感的な操作で設計することが可能となった。並列処理機能を強化し、処理プロセスの実行時間を削減するとともに、セッションを実行する際のオーバーヘッドを削減、性能を向上させている。
日本オラクル 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏
他のオラクル製品との連携も強化されており、GoldenGate 12cとの連携や統合運用管理ツール「Oracle Enterprise Manager 12c」からのモニタリング対応などを改善したほか、分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」にも対応している。Hadoopでの分散ファイルシステム「HDFS(Hadoop Distributed File System)」やHadoopの上で動くSQLライクといわれる言語「Hive」にも対応する。加えて、同社のビッグデータ専用機「Oracle BigData Appliance」との連携に対応している。
日本オラクル 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は「ビッグデータ、クラウド、ソーシャル、モバイルなどの普及、発展でリアルタイムなデータ連携や多種多様なデータソースへの対応、できる限りダウンタイムをなくすことなどが必要となり、これらを実現させるためには、従来型の手法では限界があり、データ統合をより進化させることが重要になる」と指摘。この領域の市場規模が2017年までに33億ドルになるとの予測値(出典:Gartner)を引用、同市場で先行していくことを狙っている。