再生現場でのシーン--その2
A社の高田経営企画部長とアドバイザーは、悩んでいました。
高田経営企画部長 「うちの会社にはたくさんの帳票があるが、それぞれ計算ロジックや前提条件などが異なっており、どれをもとに判断したらいいかよく分からない。現場に聞けば“今のシステムでは対応できません”とITの問題にばかりする……」

アドバイザー 「高田さん、このエンターテインメント事業は明らかに大赤字ですね。なぜ今まで放置していたんですか? この商品、限界利益割れしてますよ。こんなサービス商品ばかりでは、資金繰りも厳しくなりますよ…」
高田経営企画部長 「この事業はオーナー肝いりだ、誰が進言すればいいのだ……。この商品はそんなに赤字だったのか……」
筆者たちがお手伝いする企業の中にも、あまりのドンブリ勘定に、これは赤字事業を隠すために意図的にしているのでは? と疑ってしまう企業すら存在します。A社においても、似たような状況が続いていたようですが、ここで現実を直視し、メスをキッチリ入れられるか否かで、再生の成否を分けるといっても過言ではありません。
この時期に対症療法的な治療をすると、いずれ再入院になります。事業再生計画の肝は事実を正確にとらえ、進言すべきことは進言し、きっちり膿を出し切ることだと思います。
腹落ちさせて実行に移す
事業再生において最大の壁は、社内の反対勢力です。これらの反対勢力を退けなければ計画は絵に描いた餅に終わります。