さっそく山野氏に聞いてみたところ、「なるほど。それはおもしろい」との答えが返ってきた。思いもかけぬ問いかけだったようだが、「おもしろい」と言うところが同氏らしい。単なる言葉遊びのようだが、事業戦略の核心となるメッセージだけに簡単には引けない話だ。SDEをめぐる今後の同氏の発言に注目しておきたい。
「複数のクラウドサービスと複数の企業内バックエンドシステムをつなぐニーズが高まる」 (日本オラクル 桐生卓 執行役員)
日本オラクルの桐生卓 執行役員
日本オラクルが先ごろ、SaaS型サービスとオンプレミス(自社運用)アプリケーションのデータ連携を単一の基盤上で実現するアダプタ「Oracle Cloud Adapters」の第一弾として、Salesforce.com専用の「Oracle Cloud Adapter for Salesforce.com」と、同アダプタと関連ソフトウェアをパッケージにした「クラウド統合パック」を提供開始したと発表した。
同社のミドルウェア事業を推進するFusion Middleware事業統括本部長を務める桐生卓氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今後の企業のクラウド利用ニーズについて語ったものである。
Cloud Adaptersを利用すれば、SaaS型サービスごとに異なる接続方式の違いを吸収し、従来の約50%の作業工程で連携を実現できるという。従来、アプリケーションを連携させる300以上のアダプタを提供してきたOracleが、SaaS型サービス向けアダプタとして新たに提供するものである。
発表会見で説明された詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは桐生氏の冒頭の発言の背景について説明しておこう。
桐生氏によると、これまでの企業のクラウド利用は「クラウドサービスと企業内バックエンドシステムのつながりがシンプルなものが多かった」。だが、これからは冒頭の発言のようにn対nでつなぐニーズが高まり、全体のアーキテクチャが複雑化すると考えられ、それを解決することが課題になってくるという。Cloud Adaptersはそうした課題を解消しようというものだ。
こうした製品はまさにオラクルが得意とするところだろう。いずれにしても、今回発表された新製品によって、Salesforce.comとのつながりがまた一段と深まったと言えそうだ。