アプリケーション狙う攻撃は複雑--パロアルト、次世代ファイアウォール新製品

吉澤亨史

2014-02-14 15:22

 パロアルトネットワークスは2月13日、次世代ファイアウォールの新製品「PA-7050」の提供を開始した。同社製品のハイエンドモデルであり、主に大規模環境向けとしている。新設計された筐体(シャーシ)に6つのスロットを装備し、ネットワーク処理カードを追加できるアーキテクチャを採用した。カードひとつからのスモールスタートが可能で、拡張性が高いという。

 米Palo Alto NetworksのソリューションディレクターであるDanelle Au氏によると、大企業を狙った脅威の傾向はここ2年ほどで大きく変わっているという。従来の名声を求めるような攻撃から経済的利益を狙う標的型攻撃へと変化し、特にアプリケーションを狙う攻撃は複雑性が高くなっているとした。

Danelle Au氏
米Palo Alto Networks ソリューションディレクター Danelle Au氏

 「従来の技術は、もっぱらポートやプロトコルを見ており、アプリケーションを見ていなかった。これでは最近の攻撃から守ることはできない」(Au氏)

 大きな課題として、必要とされる性能を維持しながらセキュリティを向上させなければならないということがある。Au氏はその具体的なケースとして、アプリケーションとユーザーの検証、脅威に対応し、100Gbps以上のスループットが必須となる“データセンター”、あらゆるアプリケーションに対する可視性と制御、既知と未知の脅威への対策が必須となる“インターネットゲートウェイ”、重要なデータとビジネスの機能の分離が必須となる“社内ネットワークセグメント”の3つを挙げた。

 “次世代ファイアウォール”と名の付く製品は他社からも提供されているが、そのほとんどは“自称”であるとAu氏は言う。その理由は製品の出自であり、多くの製品は不正侵入防御システム(IPS)などに機能を継ぎ足しており、そのため複数の機能が独立したサイロ状になっていると指摘した。

 機能が相互連携していないためバランスが取れず、可視化もできない上に性能も著しく低下するとAu氏は指摘。Palo Alto製品はユーザー企業の要求に応えることを目的とした“真の次世代ファイアウォール”であり、その違いを“街道レーサー”とNASCARやF1などの“レーシングマシン”に例えた。

 スループットが最大120GpbsというPA-7050は、6つのスロットを装備する筐体に独自のOS「PAN-OS」を搭載し、機能が異なっても同一のパスで処理する「ワンパス」で高速化しているという。これにより、すべてのトラフィックのインスペクション(検査)が可能となり、暗号化や隠蔽化されていても脅威を検出できると優位性を強調した。

 Palo Alto製品であれば、帯域幅を確保してトラフィックに影響を及ぼさないという。他社製品のカタログスペックと次世代ファイアウォールとしての機能を有効にした場合の性能を比較すると、他社製品は13~18%にまで性能が落ちてしまうが、Palo Alto製品は低下しても83%の性能を維持したと強調している。

PA-7050
PA-7050

 PA-7050の特長として、カードの追加によりパフォーマンスとポート数をリニアに増設できる“拡張性”、負荷を分散するロードバランサでシームレスに拡張性があるという“柔軟性”、単一システムによる管理性の高さとシャーシ単位でのサブスクリプションとサポート価格体系の“シンプル”を挙げた。

 アプリケーションの制御、IPS、ウイルス対策、全トラフィックでのクラウド型マルウェア分析仮想サンドボックス「WildFire」の実行など、必要な機能を全て搭載している一方で、カード1枚からのスモールスタートが可能なアーキテクチャであり、小規模な企業などでも導入しやすい製品であるとした。

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