モバイルが注目されるようになる--シトリックス2014年事業戦略の勘所

大河原克行

2014-02-20 13:44

 シトリックス・システムズ・ジャパンは2月19日、2014年度の事業戦略を発表した。代表取締役社長のMichael King氏は「Mobile Workspace(場所にとらわれない仕事環境)」をキーワードに掲げながら、2014年をこう語った。

 「2014年度は午年であり、スピード感を持って事業を進めたい。米本社は25周年を迎える節目の年でもある。シトリックス・システムズ・ジャパンでは、モバイルワークスタイルを活用する“Work Better”、社会的責任を担う“Live Better”、より素晴らしいカスタマーエクスペリエンスの実現、顧客にとってナンバーワンのパートナーになるという4つの戦略を打ち出す」

Michael King氏
シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 Michael King氏
伊藤利昭氏
シトリックス・システムズ・ジャパン 事業開発本部 本部長 伊藤利昭氏

 King氏はまた「シトリックスが15年前に日本に来た時には、リモートアクセス分野から参入した。5年間ほど前からは、仮想化が注目され始め、2010~2012年は“VDI”の話題が中心となっていた。それをわれわれは“デスクトップ仮想化”と言い換えて提案してきた。2014年は、モバイルが注目されるようになるだろう。モバイルは“シトリックス 3.0”のメッセージとなる。シトリックスが提案するのはMobile Workspace。人によってモビリティの環境は異なるが、シトリックスは幅広い製品群でさまざまなニーズに応えることができる」と今後の注力分野を解説した。

 同社はMobile Workspaceを「あらゆるネットワーク、クラウドを利用する、あらゆるデバイスに対してセキュアなアプリ、データ、サービスを一体化したもの」と定義。同社の事業開発本部 本部長 伊藤利昭氏は「シトリックスは、Mobile Workspaceをエンドトゥエンドでシームレスに提供できる企業であり、トータルな提案で顧客に価値を提供できる。これまでXenApp、XenDesktop、NetScaler、XenMobileをひとつのスイートして活用してもらえるように統合を進めてきたことで他社にはない提案が可能になる。働き方そのものを変える提案が可能なシトリックスは、この分野において、明確なリーダーシップを確立できる」と同社の優位性を強調した。

 同社自らがMobile Workspaceを実現している例として、先週末の大雪で山梨県に住んでいる従業員が出社できなくなった例を挙げ、「自宅から仕事することができ、生産性にもムダが発生することはなかった」という。

 そのほか、パートナー支援プログラム「Citrix Ready」として「Citrix Ready IaaS Cloud for XenDesktop」と「Citrix Ready Low-Cost Converged Infrastructure Verified」を開始したことにも触れ、「今後はモバイル領域にもCitrix Readyを広げたい」とした。

 Live Betterでは、2013年の実績として、209人の従業員が10のボランティアプログラムに参加した社会貢献への取り組みのほか、2度目のテレワーク推進賞を受賞したことも紹介。21%のペーパーレスを実現し、残業時間を対前年比で16%削減したという。

 カスタマーエクスペリエンスでは、アプリケーション仮想化ソフトウェアの新版「XenApp 7.5」、デスクトップ仮想化ソフトウェア「XenDesktop 7.5」を発表したことに触れ、「日本の顧客からも声を聞き、長年の経験を通じて製品化したものである」とした。

 XenApp 7.5は、新たにCitrix HDX技術によるモバイルの最適化やハイブリッドクラウドプロビジョニング機能でWindowsアプリケーション仮想化でのコスト軽減、複雑さ軽減を実現するという。XenDesktop 7.5でもハイブリッドクラウドプロビジョニング機能を搭載したことで、仮想デスクトップ基盤を柔軟に構築できるという。

 「XenDesktopとNetScalerでは、HDX Insightと(アプリケーション性能監視ソフトウェア)EdgeSightで製品とコンポーネント間の連携、統合を図ることができ、パフォーマンスの改善とSLAの実現などが可能になる」(King氏)

 ナンバーワンのパートナーという観点では、「世界ナンバーワンの製品を提供するとともに、世界中の経験を活用し、ベストプラクティスを提供できること、ワールドクラスの教育施設も利用してもらえる体制を整えている。パートナー、顧客に対して個々のコンポーネントを足したもの以上の価値を提供することができる」と述べた。

 King氏は2013年度をこう振りかえった。

 「日本法人は15周年を迎えた1年だった。日本で2万8000社のユーザーを持ち、これだけ長い間成長を遂げた企業は少ないだろう。大手企業がシトリックスの技術を経営の柱として活用していることからもそれは明らかだ。仮想クライアントコンピュータでトップシェアを獲得。積極的に投資したネットワーキング分野では日本では80%以上の成長を遂げている。パートナー企業の2400人の技術者が新たにシトリックスから認証を受けている。2013年に設置したエグゼクティブブリーフィングセンター(EBC)には1400人以上が来場し、モバイルワークスタイルを提案することができた」

 IaaS環境構築管理ソフトウェア「CloudStack」について「日本では大成功を収めている。大手サービスプロバイダーでも採用しており、Desktop as a Serviceで利用が促進されている。近い将来にはWindows Azureにも対応することを発表している」と説明した。

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