次は、行政関連で一般に公開されているデータビジュアライゼーションの事例を紹介します。

Over the Decades, How States Have Shifted
Over the Decades, How States Have Shiftedは、過去数年にわたって、アメリカの各州が共和党と民主党のどちらを支持してきたかのチャートです。多くのデータが盛り込まれ、ただながめれば全体像が、マウスインタラクションで細部が読めるようになっています。またインサイトが提示され、それに沿った形でチャート内で一部がハイライトされるインタラクションがあります。

911-memorial-names-arrangement-software
911 Memorial Names Arrangement Softwareを理解するには説明が必要です。ツインタワーがかつて立っていた場所にモニュメントとして建設されたツインメモリアルプールに9.11で亡くなった方々の名前が刻まれています。このアプリケーションはその名前の並び順にきちんと意味があり、家族や友人など親しい人がなるべく近くに来るようにアレンジできるというものです。
このアプリで生成したドラフトレイアウトを元に実際のレイアウトがなされ、遺族などからのリクエストを99%受け入れることができた、とのことです。最終的な作品ではなく、そこに至る過程にインタラクションが活かされた例ですね。

「税金はどこへ行った?」
WHERE DOES MY MONEY GO?~税金はどこへ行った?~ は、市税が何の目的に使われているのか、自分の年収を元に可視化されるウェブサービスです。現在、132もの自治体の実態が公開されています。横浜市の例はこちら。
The Wait We CarryはIAVA(Iraq and Afghanistan Veterans of America)と呼ばれる団体の依頼によるPeriscopicの作品です。 米国の退役軍人が、戦闘負傷の際の手当を受け取るまでに精神的や経済的にどれほど待たされているかなどをビジュアライズしています。映像を用いて関心を引き、ユーザーに数値を予想させることでなかば“自分ゴト”に巻き込んだ上で、正解とともに最後にやっとデータをビジュアライズして見せています。
- 矢崎 裕一
- 株式会社ビジネス・アーキテクツに勤めた後、2008年6月独立。各種デバイスのインターフェイスデザインに注力し、PC、スマートフォン以外にもテレビ、デジカメ、カーナビなどのUI設計経験がある) 。データ・ビジュアライゼーションにまつわる実践的な手法や実例を紹介していくvisualizing.jpを運営中。一般社団法人コード・フォー・ジャパン正会員。