触れる可視化--データビジュアライゼーションとは何か(後編)

矢崎裕一 2014年05月21日 07時30分

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 前編では、データビジュアライゼーションが必要になった背景やその定義を解説しました。後編では、データビジュアライゼーションを取り巻く最新技術や事例を紹介します。

「D3」で変わるデータビジュアライゼーション

 最近はデータビジュアライゼーションがブラウザ上で実装可能になってきました。たまにブログ記事などでブラウザでの機能対応が劣化版かのように取り上げられることがありますが、それは「D3」の登場に代表される最近のライブラリの充実により、過去の認識になるでしょう。

 D3というのはJavaScriptとSVG(Scalable Vector Graphics)というウェブ標準機能に準拠したライブラリで、統計チャートの表示を支援する機能や、地理、地図投影法に複雑な処理が必要な機能をこのライブラリが内部でまかなっており、作り手はスタイリングやレイアウトに注力できるというものです。

 実はこれこそが画期的なことです。ビジネスインテリジェンス(BI)用のソフトではビジュアライズ部分を独占的に作っていることが多いため表現力が弱く、最近ではD3やIBMのウェブベースビジュアライゼーションアプリ「ManyEyes」などオンラインでの先端的なライブラリと接続されることが多くなってきたように感じます。

 D3のメイン開発者はMike Bostockといい、彼自身ニューヨークタイムズ(NYT)に所属していて、日々データビジュアライゼーション作品を生み出しています。D3は、NYT以外にもThe Washington Post、新興ウェブメディア「Quartz」などでも活用されています。2013年にはオンラインジャーナリズムの賞をJavaScriptライブラリとしては初めて獲得しました。

 以前のFlashのような配布を制限するような作りではなくウェブ標準に準拠しているので、たとえD3を使わなくなったとしても、2次元グラフィクス記述言語SVGでリプレース可能な作りとなっていて、そこも高く評価されているようです。

 表示フォーマットがいくつか予め用意されていて、そこから選べるツールを使えば比較的簡単ですが、そのデータ固有のインサイトを的確に伝えるには不十分な場合が多いでしょう。また、読み手に探索的にデータを提供するならそれでもいいのかもしれないのですが、ストーリーとして共感を得るためには個別にどう提示すべきか考えを尽くす必要があります。

データビジュアライゼーションが有効な領域

 例えば、食料が大量に無駄になっている現実があるとして、いきなりデータビジュアライゼーションで見せつけられても、もしかしたら自分が責められているように感じ、罪悪感とともにページを閉じてしまうかもしれません。

 この場合必要なのは、1枚の強い力を持った写真とコピー1行で、そのあと読み手にとって自分ごとになるようなインタラクションがあり、それをきっかけに、やっと論拠(エビデンス)としてのデータビジュアライゼーションが表示される、というような流れが必要かもしれません。

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