河村氏が言う注文住宅と建て売り住宅の例え話は分かりやすい。これは取りも直さず、バックアップ製品やサービスだけでなく、ITプラットフォームとして大手ベンダー各社が商品化している「統合型システム」にも同様のことがいえるだろう。その意味では、バックアップ、ひいてはセキュリティ分野もITプラットフォーム化が進みつつあるということか。そんなことを感じた新製品の発表会見だった。
「これまで培ってきた計測機器の試験ノウハウを新サービスに生かしたい」 (東陽テクニカ 北山正姿 執行役員)
東陽テクニカ 執行役員 北山正姿氏
東陽テクニカが先ごろ、会員制のIT機器ベンチマークテストサービス「@benchmark」を提供開始すると発表した。同社は長年にわたって海外の計測機器を輸入販売しており、その中で試験に関するノウハウを蓄積してきた背景がある。同社執行役員で新サービスを担当する北山氏の冒頭の発言は、そうした背景による同社の強みを前面に押し出したものである。
@benchmarkは、登録会員のリクエストに応じて、ベンダーに依存しない中立な立場で実導入環境に近い設定のベンチマークテストを無料で実施するサービスである。これにより、検証環境や検証技術者を保有しないシステムインテグレーターやネットワークインテグレーター、ユーザー企業が、実測値を確認した上でIT機器を的確に選定し効果的に導入できるように支援するという。
また、テスト結果はウェブ上で会員が無料で閲覧、再利用できるとともに、テスト数値の読み取り方やテスト結果の活用ノウハウを公開するなど、会員同士が自由に情報交換できるコミュニティの場も提供するとしている。
ベンチマークの対象となるのは、ネットワーク機器、サーバ、ストレージ、UTM、ロードバランサなどで、対象機器は順次増やしていく計画。また、テスト対象項目は、スループット、最大転送レート、レイテンシ(遅延)、TCPトラフィック帯域、新規セッションレート、最大TCPコネクション保持数、書き込み/読み込みスピード測定、毎秒コール数、音声品質評価、実効消費電力などだ。
会員登録料は月額5万円もしくは年額55万円と、幅広く利用してもらえる価格帯にしたという。そうした料金設定やインターネットを有効活用していることから、同社では@benchmarkを「検証サービスのクラウド化」と位置付けており、将来的には外部からネットワーク越しにベンチマークテストを実施できるような「Test as a Service」の展開も視野に入れているとか。同社ならではのユニークなサービスだけに、今後どれだけ活用が広がっていくか、注目しておきたい。