インフォアジャパンは4月28日、日本での事業戦略説明会を開催した。同社は2013年7月に尾羽沢功氏が代表取締役社長に就任し、3年でライセンス売り上げを2倍にすることを目標に掲げている。決算は5月末締めで、現在、2014年度第4四半期の最中だが、「これまでのところ44%成長し、就任会見時にお話しした新規パートナー獲得も4社のパートナーが新たに加わり、事業拡大に寄与している」と尾羽沢氏は説明する。
会見には米本社のエグゼクティブバイスプレジデントであるJohn Flavin氏も登場し、社内体制を強化したことで事業環境が好転したことをアピールし、SAP、Oracleに次ぐ第3のERPベンダーとして存在感を増していることを強調した。
米Infor エグゼクティブバイスプレジデントJohn Flavin氏
インフォアジャパンは、新宿にあったオフィスを有楽町の東京宝塚ビルに移転。「従来のビルは新宿駅から徒歩で10分以上とアクセスが悪かった。当社の顧客は製造業が多く、新幹線で東京駅に降りてすぐに移動できるオフィスが理想だったが、新しいオフィスではそれが実現した」(尾羽沢社長)とビジネス的なメリットが大きいと説明した。
今回、新オフィス移転に合わせ、Flavin氏に加え、アジア太平洋地域の代表取締役であるTim Moylan氏が来日し、ワールドワイド、アジア太平洋地域、日本それぞれのビジネスの現状を報道陣向けに説明した。
アジア太平洋地域の業績
アジア太平洋地域については、第3四半期(2013年12~2014年2月)の売り上げは対前年同期比13.9%増となっている。「今回の来日で、日本の製造業の顧客に会いたいが、海外への展開におけるアドバイスが欲しいという声が共通していた。Inforがグローバルで培ったノウハウを提供することが重要なポイントとなると感じた」とアジア太平洋地域担当の代表取締役のMoylan氏は説明した。
2011年度比で組織を強化
米本社は2011年度と比較して903人のエンジニアの増強、製品戦略を一環とする方向性、1万1000以上の機能強化、Microsoft中心の戦略をオープンソース、Java、NETへと転換するなど大幅な増強を進めた。
製品スイートについても、従来のオンプレミス型からオンプレミス、ハイブリッド、クラウドの3つのパターンから選択可能とした。さらに業種別クラウドスイートを投入するなどの転換を進めた。
2013年第3四半期の業績
その結果、「数字が成功を示している。第3四半期の商談成立率は前年同月比11%増、商談規模は5%増、SaaS収益は65%増。SAPとOracleとの競合商談でも93件の勝利を収めた。2011年度と2013年度を比較しても、新規売り上げは67%増、複数製品商談は297%増など大幅に業績が向上している」と米本社のJohn Flavinエグゼクティブバイスプレジデントはアピールした。
代表取締役社長 尾羽沢功氏
日本法人についても、「国内は製造業向けERPにフォーカスしてきたが、日本から海外進出を進めているところが多く、その際のノウハウも含めてグローバルビジネスの推進を、インフォア製品を導入することでサポートしていくというビジネスが好調。ただし、製造業だけにフォーカスすることは、局面が変わった場合に売り上げが厳しくなることも経験したため、新たな成長エリアとして新規企業のサプライチェーンシステムなど、新規ビジネスも進めている」と従来から進めている製造業向けERPと、新たな顧客向けビジネスを進めていると日本法人の尾羽沢社長は説明する。
新規顧客向けには、新たにパートナーとなったインフォセンス、DHI、日揮情報システム、ネオアクシス経由でのビジネスが進められている。
「SAP、Oracleを導入する超大手ではなく、年商500億円から1000億円の製造業がインフォアのスイートスポット。この市場に新パートナーとともに攻め、成功をおさめている」(尾羽沢社長)
こうした施策により、「就任会見で申し上げた、売り上げを3倍にする道筋はほぼ見えた。今後は新たにやるべきことを進めるべきだと感じている」という。具体的には、(1)クラウドの取り組みの拡大、(2)パートナーエコシステムの拡大、(3)業種ごとにカットされた営業組織の編成という3点をあげる。
「さらに、長期ビジョンとして日本では投入していない人事の投入、新たな業界向け製品やサービスの投入も5年くらいで実行していかなければならない」と中期計画もふまえ、日本でのビジネスを進めていく方針だ。