インフォアジャパンは8月8日、日本国内での事業戦略について会見を行った。米Inforは、全世界194カ国7万社以上の顧客を有するビジネスアプリケーションベンダーで、売上高は28億ドル。従業員数は1万2400人、全世界38カ国に160の現地法人を展開している。
日本法人は1995年に設立。7月1日には尾羽沢功氏が日本法人の代表取締役社長に就任。今後3年間で日本での売上高を2倍以上にする計画を掲げた。
米Infor アジア太平洋地域の代表取締役のTim Moylan氏は「2010年にCharles PhillipsがCEO(最高経営責任者)に就任して以降、Inforは事業を大幅に拡大。LAWSONの買収やSalesforce.comとの連携強化などを通じて、体制を強化してきた」とこれまでを振り返った。
米Infor アジア太平洋地域 代表取締役 Tim Moylan氏
「Inforは、世界最大のスタートアップ企業と見なされており、ここ数年はアジア太平洋地域での従業員数を増やし、この地域が当社のイノベーションを牽引している。この半年間で、日本でのオフィス拡充に続き、韓国とベトナムにも拠点を展開した。業界別に細分化したアプリケーションの提供、インターネットアーキテクチャに則った開発、エンドユーザー視点を基点にした優れたユーザーエクスペリエンスの提供が当社製品の特徴。業界ごとに特化したアプリケーションは顧客が求めているものであり、また直感的に使える環境を提供することで、最適化した体験を創り出すことも当社の役割になる」(Moylan氏)
Moylan氏は自社の状況について「競合他社が横ばいか、前年割れとなっている中で2012年度は17%増の新規ライセンスの純増となり、年間で3000以上の新規顧客獲得し、1248件もの本番稼働、300万のクラウド加入を得た。このように当社が急成長を遂げているのは、当社の戦略が適切であり、市場の要求に合っているからである」と好調さをアピールした。
ビジネスアプリケーション群「Infor 10x」を展開
今後の同社事業戦略の中心となるのは「Infor 10x」だ。
財務、人材管理、資産管理、サプライチェーン管理、製品ライフサイクル管理、顧客管理などのビジネスアプリケーションと、システムを統合するためのミドルウェアである「Infor ION」テクノロジを通じて、Inforが持つ12の主要業界向けのソリューションスイートとして提供するものだ。
HTML5によるユーザーインターフェースやコラボレーションプラットフォームとしての機能、インコンテキストの分析機能、モビリティへの対応機能などを備えている。独自のモバイルダッシュボードで可視化しやすい方法を用いながら、モバイル端末でもビジネスインテリジェンスの情報を見やすく表示できるという。
「Infor 10xは、5億ドルを投資し、1000人の専任開発者が1000万時間をかけて開発した次世代ビジネスアプリケーションと呼べるものである。新機能は従来製品の2倍となり、新規統合も1000を超えている。低コストで迅速にさまざまなアプリケーションを統合。大量のデータから意思の決断につなげることができる分析能力の強化や、スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスへの対応も重視している。イノベーションとスピードを実現する革新的な製品になる」(Moylan氏)
インフォアジャパンでは、2015年秋までに日本で段階的に製品を提供する予定であり、まずはION、資産管理、顧客管理、会計ソフトウェアの「SunSystems」などから提供する。
パートナー企業を増やす
日本市場では「パートナーエコシステムの構築」「インダストリーフォーカス」を重要なポイントに掲げ、これまでの約30社のパートナー企業に加えて、2013年度中に最低でも新たに5社とのパートナー契約を結ぶことを目指す。
パートナー企業を増やすことでソリューションカバレッジの拡大とともに、間接販売比率を現在の35%から50%にまで引き上げる。加えて、自動車や組立製造業、ファッション、食品飲料、流通を重点業界として取り組む姿勢を明らかにした。