そんななか、企業が準備すべきことは何か。池田氏は、テクノロジ、プロセス、人の観点から、対応をアドバイスした。まず、テクノロジについては、IoT/IoEに対して取り組むさまざまなベンダーの動きを注視すること。ベンダーとしては例えば、CiscoやGoogle、AT&T、SAP、Intel、GE、Salesforce.com、IBMなどだ。
「システムを構築する際は、企業の外のシステムと接続しようとする『コネクテッドなシステム』を志向することが求められる。ITインフラは、企業内にとどまるのではなく、広大なデジタル空間上に構築され、インターネット上で拡張し続ける。外で使えるビジネスのインフラもたくさんあるのではないかと、日常業務の外に視線を向けることが大切だ。想像力を基に、自社のビジネスをつくっていく必要がある」
プロセスについても、これまでの常識やルールを疑うことが大切だ。たとえば、サービスや商品の企画や開発段階、製造工程、出荷段階、販売・顧客対応時、流通段階、サポート、ライフサイクル管理でのプロセスなどを見直していく。
「発想法としては、企画段階で、デジタル化されていないモノは何かを探してみることがある。次に、すでにデジタル化されているがネットワークでつながっていないモノを探す。作業プロセスについては、人がやるべきと思い込んできた作業は本当にそうなのかと問い直すことが大切。たとえば、接客や販売がマニュアルで済むなら、必ずしも人がやらなくてもいいのではと考えてみる」
人については、これから起こることを予見し実行できるかは、役割や担当部署とは関係がないとする。デジタル化を担う人材も、最高経営責任者(CEO)なのか、最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)や最高マーケティング責任者(CMO)なのかといった声があるが現実的には「全体像を見極められる人材はいない。気付いた人が進めないといけない」という。とはいえ、自社ビジネスの周辺には新たなConnectedな価値を発見できる可能性はある。そこで、「ビジネスとテクノロジに詳しい双方の人の連携が大切だ。また、既存の常識やルールを超えた新しいゲームを作れる想像力と実行力が必要になる。特に大事なのは実行力。実行して世の中に広げる力は、商品の売れ行きに直接関わってくるからだ」とした。
最後に池田氏は「IT部門には、ビジネスとテクノロジのインパクトを定期的に見通す役割が求められている。部門を超えた取り組みでイニシアチブを握っていってほしい」とIT担当者にエールを送った。