エアバス、新たなRFIDラベルで航空機部品の個体管理とトレーサビリティを実現

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2014-05-15 07:30

 エアバスは、同社が製造する全ての航空機の製造段階から、主要な航空機の各部品にRFIDラベルを張り付けて、部品の個体管理と正確なトレーサビリティを実現する「エアバス RFID Integrated Labe」プロジェクトを開始する。RFIDラベルを提供する富士通が5月14日に発表した。富士通では、新RFIDラベルと関連製品の販売を6月1日より開始する。

  • 航空機部品に貼付した新RFIDラベル

 航空機には1機あたり数百万点の部品が搭載され、部品サプライヤーや機体製造業者、運航会社、整備会社など多くの企業が関係しており、部品管理は複雑なものとなる。航空機の安全運航に欠かせない整備の効率化や、適正な在庫管理のため、設計・製造から修理、廃棄までの数十年のライフサイクルの全課程におよぶトレーサビリティを実現する高度な部品管理が求められている。

 エアバスでは、航空機部品のサプライチェーンの透明性・可視性を強化するために、2009年に、最新鋭中型機「A350 XWB」の航空機部品にRFIDラベルの適用を開始し、2012年10月には全エアバス機へと適用対象を拡大している。2013年1月には、「エアバス RFID Integrated Label」プロジェクトに着手し、部品情報が表示されている従来型の銘板を、トレーサビリティ性の高いRFIDラベルに置き換える方針を決定した。

 RFID Integrated Labelプロジェクトでは、従来品より柔軟性や薄さを強化した富士通製の新RFIDラベルを用い、主要な航空機部品に張り付けて運用、部品の個体管理と正確なトレーサビリティを実現する。エアバスと航空機部品サプライヤーは、航空機部品それぞれの製造情報や整備情報を確認でき、また個々の部品の保管情報や在庫を常に確認できるため、最適な部品補給が可能となり、部品供給のリードタイムの短縮や重複調達の削減など、部品在庫を最適化できるという。

 新ラベルは富士通研究所の技術を用いて開発されたもので、品質の要求が厳しい航空機部品に適用される「SAE AS5678」規格(Society of Automotive Engineersが2006年12月に制定した、航空機使用を目的とするパッシブ型RFIDラベルに対する環境仕様および試験方法について規定した規格)と、航空業界の標準データフォーマットである「ATA Spec 2000 standard Ver. 2013.」(Air Transport Association:航空輸送協会が策定する、航空機部品の材質や信頼性に関する情報交換や処理手順などについて規定した標準化ドキュメント)に準拠している。メモリサイズは1キロバイトと8キロバイトの2種類、大・中・小の3サイズを展開し、かつ金属・非金属にも対応することで、数百社にわたる全世界の部品ベンダーの要求に対応できる。

 富士通では、このラベルのみならずRFIDリーダ、データ書き込み・ラベル印字、ユーザーの既存ERPシステムと連携するシステムインテグレーションアダプターなどを総合的に提供し、航空機部品サプライヤー、航空機製造メーカー、航空会社、メンテナンス会社など、航空業界全体での部品のサプライチェーン効率化を支援。エアバスの戦略パートナーとして、ともに航空業界のサプライチェーンを変革すると意気込みを伝えている。

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