1996年8月に、アプリケーションソフトの企画、開発および販売を目的として設立されたソースネクスト。PC向けソフトとスマートフォン向けアプリを中心に膨大なタイトルの製品を展開している。平成26年3月期の決算短信では、過去最高益を記録している。今回は、シリコンバレーを拠点に活動している代表取締役社長の松田憲幸氏に話を聞いた。
過去最高益を記録したとのことですが、その要因は何でしょう?
ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏
おかげさまで平成26年3月期は、売上高で57億3600万円と前期比11.2%増、経常利益が12億2500万円で前期比68.2%増と、過去最高益を達成しました。ソースネクストでは「セキュリティ」「年賀状」「Androidアプリ」が3本柱ですが、今期はそのいずれも好調でした。その要因として、ソフトウェア市場がPCからスマートフォンに移行していることが挙げられます。
この市場傾向から、多くのソフトウェア企業はPCからスマートフォンに軸足を移しています。悪く言えば、PC向けソフトウェアに関しては手を抜いているわけです。ソースネクストはスマートフォンに力を入れつつも、PC向けも手を抜いていないため、相対的に露出が増えてシェアが上がっているのだと思います。
特に大きく伸びた分野は何でしょうか。
特に伸びた分野は年賀状です。店頭販売に注力したことも要因ですが、ネットでの売り上げが大きく伸びたことが特徴的です。また、Androidアプリにおいても、NTTドコモの「スゴ得コンテンツ」とKDDIの「au スマートパス」に多くのアプリが採用されたことも要因でしょう。他には製品ポートフォリオにおいて、自社著作の製品が増えたことも挙げられます。
ソースネクストでは18年間、ソフトウェアのビジネスをしていますが、他社製品の販売ではソフトウェアを改変する権利がありません。顧客の要望を反映できないわけです。自社著作とすることで、顧客の要望を反映し、より使いやすいソフトウェアに育てていくことができます。実際、売れているソフトはそうした自社著作の製品です。
さらに、ソースネクストはPCソフトで1位になっていますが、Androidアプリでも高い位置に付けているという特徴もあります。これは、収益性の高いブランド力をAndroidアプリでも生かしていることが大きい。当初からのブランドである「驚速」や「特打」「筆王」など収益性の高いブランド名を、「驚速メモリ」や「特打フリック」のようにAndroidアプリ版としてそのまま使用しています。そういったブランドの立った製品に対し、さらにマルチプラットフォーム化を進めています。これによりマーケティングコストを下げることができます。まさにブランド資産が花開いている状態といえるでしょう。
市場の動きはどう見ていますか?
タブレットやスマートフォンが増えていることは間違いありません。ただ、年齢層によって日本は独特です。例えば、同じ年齢層でも世界と比べて日本はITリテラシーが低い傾向にあります。また、高齢者が多いという背景からも独特です。高齢者にPCユーザーが多いことも特徴で、60代や70代の方はPCをやっとの思いで覚えましたから、まったく操作方法の異なるスマートフォンになかなか乗り換えられない方もいらっしゃいます。
ソースネクストでは、PCソフトのマーケットはまだまだあると思っており、新製品も減らしていません。このあたりも高いシェアの要因だと考えています。