サイボウズは6月8日にPaaS「kintone」をアップデート。今回のアップデートでは「プラグイン」機能を利用できるようになっている。プラグインを利用することでよりカスタマイズ開発がしやすくなっている。
kintoneのカスタマイズ開発ではこれまで、複数のJavaScriptやCSSのファイルを一つずつ読み込む必要があった。カスタマイズの設定を変更する時もファイルの内容を書き換えなければならなかった。
リリースされたプラグインは、複数のファイルを一つにまとめてアプリケーションに適用でき、GUIの設定画面も作成できるという。プラグイン機能を活用すれば、ユーザー企業にあったシステムを手軽に提供できるようになり、ユーザー企業側でも画面上で設定を変更できるとメリットを説明している。今回サイボウズから提供されるプラグインは、「Box for kintone」と「Zendesk for kintone」の2種類。
前者はクラウドストレージ「Box」と連携する。kintoneのレコードとBoxのフォルダを関連付けられ、kintoneのフォームにBoxのフォルダが表示され、Box上でファイルのアップロードやダウンロード、プレビューなどを実行できる。
後者のZendesk for kintoneは、SaaS型の顧客情報管理システム「Zendesk」と連携する。Zendeskで管理している問い合わせをkintoneに表示できる。kintoneの顧客リスト機能にZendeskで受けた問い合わせを紐付けるといった使い方が可能としている。
現在利用できるプラグインはサイボウズが開発したプラグインだけとなっているが、今後は、サイボウズ以外がプラグインを開発、提供できるようにする方針を明らかにしている。今秋をめどに技術文書や任意プラグインの読込機能などの準備を進めていく。
kintoneは4月に価格体系を刷新した。カスタマイズできない“ライト”とAPIやJavaScriptでカスタマイズでき、ほかのシステムとデータを連係できる“スタンダード”の2つで利用できる。5月の新規契約のうち、6割がスタンダードとなっており、kintone上でシステムを構築する際にカスタマイズのしやすさに対するニーズが高まっているとして、プラグイン機能を提供すると背景を説明している。
kintoneは4月に開発者向けコミュニティサイト「cybozu.com developer network」を開設。エンドユーザーやシステムインテグレーターなど誰でも無料で利用できる。
サイボウズでは、developer networkの登録メンバーの目標を初年度で1000としているが、現在約400が登録している。developer networkではメンバーがそれぞれのノウハウをブログ記事として公開できるようになっているが、初年度50を目標にしているが、公開件数はすでに31になっているという。
developer networkの盛況は、kintoneのメリットを自ら解説して布教活動に励むエバンジェリストの存在が大きいと同社は見ている。このエバンジェリストたちは自らイベントを主催するなどの活動を続けている。これまでに札幌や福岡、土佐、沖縄などで主催。サイボウズはイベントでオブザーバー的存在として協力している。