オムニチャネルというワナ

オムニチャネルはチャネル統合のことではない - (page 2)

伊藤圭史

2014-06-16 07:30

オムニチャネル=チャネル統合なのか

 さて、本論の「オムニチャネルとは?」に戻ります。

 各種記事や意見を伺っていると、オムニチャネルは概ね「チャネル統合」と理解されていることが多いようです。

 これは、「シングルチャネル>マルチチャネル>クロスチャネル>オムニチャネル」といったいわゆるチャネル政策の系譜で、たくさんのチャネルができたから次は統合しなければならない、という考え方です。

チャネル政策の系譜でオムニチャネルを解説
チャネル政策の系譜でオムニチャネルを解説

 恐らく、この考え方は言葉の原義から鑑みると、理論上は正しいものなのであろうと思います。ただ、現場にこの 「理論上正しい」 定義を持って行くと実は相当な反発を受けることになります(同じような経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか)。

 多くの場合、現場から聞こえてくるのは「日本ではチャネル統合は不可能。オムニチャネルはうちにはあわない」「チャネルを統合しても売り上げは上がらないのではないか」といった批判的な声です。

 推進する側からすると非常に面倒な「保守派」の意見です。でも、間違っているでしょうか。

 このような批判的な意見は正しいと思っています。在庫や商品情報の統合は日本の商習慣やシステム化の状況を鑑みたら極めて難しい話ですし、単にチャネルを統合しても売り上げは上がらないと思います。

 また、最も根本的な問題として、理論上の流れがチャネル統合だからといって、そうしなければならない理由が分かりません。私は「オムニチャネル=チャネル統合」という定義は、実際に進めていく上では不適切ではないかと感じています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. 経営

    プロが教える“使える業務マニュアル”--作成・運用を実現する3つのポイント

  5. セキュリティ

    Microsoft Copilot for Security--DXをまい進する三井物産が選んだ理由

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]