製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアを手掛ける米PTCは、6月15日から開催しているユーザー向けコンファレンス「PTC Live Global 2014」(米国マサチューセッツ州ボストン)で今後は“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”に注力する姿勢を鮮明にした。
「PTC Live Global 2014」会場となったBoston Convention & Exhibition Center
2013年に買収した米ThingWorxのプラットフォームを、PTCのサービスライフサイクル管理(SLM)やアプリケーションライフサイクル管理(ALM)、PLMなどのポートフォリオに組み込む。ThingWorxを使えば、顧客は独自の要件に基づいて、アプリケーションをすばやく開発できるという。すでに製造業、運輸業、鉱業、農業、医療など、幅広い分野で導入されている。
コンファレンスの基調講演では、米ThingWorxの社長兼ゼネラルマネージャーでPTCビジネス担当のRussell Fadel氏が登壇し、IoT市場でのThingWorxの優位性と、ThingWorxの新版を紹介した。
米ThingWorxの社長兼ゼネラルマネージャーでPTCビジネス担当のRussell Fadel氏
500万超のアプリケーションが必要になる
Fadel氏はIoTの現状について、「少し前までは、センサやデバイスには投資が集中したが、IoT向けアプリケーション開発には投資が集まらなかった。2020年には500億のデバイスがインターネットに接続すると予測されているが、その場合には、500万超のアプリケーションが必要になる」と指摘した。
同氏によると、ThingWorxがIoT向けアプリケーションの市場に参入するまで、アプリケーションを作るツールは汎用ツールしかなかったという。「IoT向けアプリケーションの開発はスピードが重要になる。開発からリリースまでの時間を短縮し、コストをかけないようにするには、プラットフォームサービスが必要になると考えた」(Fadel氏)のが、ThingWorx設立の動機だ。
ThingWorxはオープンなプラットフォームであり、モデルベース開発を実現したことで開発時間の大幅な短縮を実現したという。Fadel氏は、「一般的な開発と比較し、時間とコストを最大10分の1に抑えられる」と自社の技術力の高さ語る。
今回のコンファレンスに合わせ同社は、ThingWorxの最新版である「ThingWorx Platform v5.0」をリリースした。独自の「サーバフェデレーション」機能が備わったことで、パブリッククラウドやプライベートクラウド、その両方を活用するハイブリッドクラウドといったオフプレミスとオンプレミスなど、どのサーバ環境でも組み合わせて開発することが可能になる。Javaや.NET、C、iOS、Androidなどに対応したソフトウェア開発キット(SDK)も提供する。任意でユーザー権限を設定できる「ThingWorx MatrixMultitenancy」も追加された。
IoT向けアプリケーションに必要な要素、画面左中央にある個別の要素をThingWorxは一括で提供する
基調講演終了後Fadel氏は、海外メディアの取材に応じ、今後のIoT戦略について語ってくれた。