また、証券外務員の資格をもつIFA(Independent Financial Advisor、独立系ファイナンシャルアドバイザー)との代理店契約競争も激化しているという。長年特定の富裕層の資産運用を証券会社などに属して行っていた人が、独立したのちも顧客との関係を維持し続けるケースが増えてきている。
「IFAとして独立して、これまで通り顧客の資産形成、運用を続ける場合、独立前の会社とは別のネット証券企業の代理店になった方が、前職の会社とバッティングしないのでスムーズに独立後のビジネスを続けられる。こういうニーズに応えていくことで、当社としても新しい顧客を獲得しやすい。もちろん、競争は激しくなっていますが」
髙村氏は、数字としての目標として現在の東証での売買シェア35%を40%にしていきたいと語る。
「ここまで話してきた各分野での努力をコツコツと続けていくことで、現状よりも5%アップさせる。そうすることで、業界の様相も変わってくるはず」
5%というのは、一見地味な数字に思われるかもしれないが、上位7社で9割弱のシェア、という状況ではかなり重い数字である。上位企業の中で、経営がかなり苦しくなるところも現れるかしれない。5%アップのために他社の買収ということもあるか、と話を向けたが髙村氏は首を横に振る。
「買収したからといって現状では顧客数を増やすことにはつながらないでしょう。重複しているケースが多いでしょうから。多額のお金をかけても得られるものは少ないと見ています。必要な施策を積み重ねて新規の顧客を増やしていきながら、5%アップを目指していくということですね」
ということは、正面から競争で打ち勝ち、投資初心者からベテランの個人投資家まで広く顧客を増やしていく戦略ということになる。他社にはない魅力をアピールし、顧客を自然に奪い取っていくことを狙っていくわけである。
こうした髙村氏の戦略からすれば、システム面での充実で他社を引き離すということが不可欠となるはずである。