製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアを手掛ける米PTCはユーザー向けコンファレンスである「PTC Live Global 2014」を米マサチューセッツ州ボストンで開催。米国時間6月16日の基調講演の中で、製品設計ソフトウェア群の新版「PTC Creo 3.0」が発表された。
競合となる「SolidWorks」やDassault Systèmsの「CATIA」、Siemensの「NX」シリーズといった他社のCADファイルを直接Creoで利用できる「Unite Technology」を実装。同社は「複数のCADツールを使用するユーザーとの協業が効率的に実現できる」としている。
Creo 3.0の新機能を紹介するCAD部門エグゼクティブバイスプレジデント Michael Campbell氏
CADデータの統一で余計な作業を削減
PTCでCAD部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるMichael Campbell氏は「Unite TechnologyによるマルチCAD環境の実現で設計部門は、フォーマットの変換やファイル管理といった生産性を阻害する作業の工数を、大幅に削減できる」と、その優位性を強調する。
多くの企業にとってCADデータの統一は、業務効率向上の課題であった。Creo 3.0では、SolidWorks、CATIA、NX、SolidEdge、Inventorで作成されたCADデータを、機能を追加することなくインポートが可能。SolidWorksやCATIA、NXのデータファイルは、そのままCreoで開くこともできる。
Creo 3.0では他社のCADデータをインポート、オープンできるUnite Technologyが追加された
既存のCADデータをそのままのフォーマットで再利用できるのも特徴だ。データの更新や変更は、Creoで変換できる。個別部品の変更にアセンブリ全体の変換は不要で、必要に応じて部品データを変換すればよい。Campbell氏は「以前であれば、こうしたデータの移行には多額の初期投資が必要だったが、一切不要になる」とそのコストメリットを語った。
同社の調査によると、Creoユーザー企業の約40%が、Creo以外のCADも利用しているという。「Creo 3.0により顧客は、多くの2次的フォーマット管理が不要となる。データは顧客やサプライヤーで作成されたネイティブフォーマットで共有でき、迅速なコラボレーションが実現できる」(Campbell氏)という。
トヨタ自動車のエンジン部門でも導入
基調講演ではCreoのユーザー事例としてトヨタ自動車が紹介された。