4.自動車の動力
トヨタは2014年のInternational CESで、水素を使用する一般向けの燃料電池車を公開した。同社は最近、この車を2014年度内に発売すると発表している。水素で走る自動車が発売されるのは初めてではないが、この種の車が大量生産されるのは初めてのことだ。水素と酸素の反応で生まれた電気が、この車の動力となる。この車から排出されるのは水蒸気だけだ。この車の性能は「プリウス」と同水準だが、価格はもっと高くなる。もちろん、まだ燃料電池車に燃料を供給できる水素ステーションはほとんどないが、この車が状況を変える可能性はある。
5.淡水化
淡水化技術の効率は向上している。そして、水の安全の問題が大きくなっていることから、重要性も増している。世界の多くの乾燥地域、例えばチリ、イスラエル、サウジアラビアなどでは、海水を淡水化して水源の1つとしているが、カリフォルニアも同じ状況になりつつある。古い淡水化技術はコストの高さや水生生物への悪影響のために否定的に見られているものの、これまでカリフォルニアの海岸地帯では約15件のプロジェクトが提案されては消えている。
現在最大の淡水化施設が、カリフォルニア州サンディエゴ郡で建設中であり、2016年に完成する予定だ。この施設では、約5000万トンの水から浸透作用により塩分やその他のミネラルが取り除かれ、同郡が使用する水の7%を賄う予定になっている。2019年に完成予定の中国北京の施設は、同市の水の3分の1を供給する見込みだ。世界各地のより小規模な施設では、太陽光エネルギーを用いた淡水化技術を採用しているが、こちらの方がより実用性が高いかもしれない。
6.ビッグデータの活用
WatrHubは、今は人々が水の希少性や安全性に関する情報を求める時代であることを意識して、将来の水に関するデータについて、ビッグデータの提供者になろうとしている。同社は水と廃水の処理に関する最新の情報を提供すると同時に、この業界の多くの企業情報も扱っている。同社の目標は、世の中の水に関するデータの(大量の)断片を集めて分析し、サービスを利用したい人にすぐに使えるレポートを提供し、データを使いたい企業にはマーケット情報を提供できるようにすることだという。
7.新しい軍事用途
米国海軍研究所の材料科学およびテクノロジ部門の研究者は、海水から二酸化炭素と水素を取り出し、これを米海軍の航空機で使用可能な燃料に転換する試みに取り組んでいる。ある金属触媒を使うと、これらの気体をエンジンで使用できる液体炭化水素に変換することができ、すでに小型の航空機でテストが行われているという。もしこれを増産できれば、燃料費は1ガロン(約3.8リットル)当たり3ドルから6ドルの間になる可能性がある。