日本オラクルは8月6日、企業向けモバイルソリューションのローンチイベント「エンタープライズ・モバイル・サミット」を開催した。「モバイルファースト」の掛け声が大きくなる中、企業でも社員の生産性を高め、よりよいサービスを提供するためにモバイル対応が急務となっている。
同イベントでは、企業がモバイル対応でどのような課題を抱えているのかと、それを「Oracle Mobile Suite」と「Oracle Mobile Security Suite」の2つがどのように解消するのかが紹介された。

Oracle ソフトウェア開発ツール&フレームワーク担当バイスプレジデント Bill Pataky氏
モバイル対応で開発負荷とセキュリティリスクが急増
エンタープライズ・モバイル・サミットは、8月5日に日本市場に投入したばかりのMobile SuiteとMobile Security Suiteを紹介するイベント。Mobile Suiteは、Javaを基礎技術として独自にモバイル向けの開発フレームワークとした「Oracle Mobile Application Framework」や既存のアプリケーション資産をモバイル対応させるためのゲートウェイ基盤となる「Oracle Service Bus」などで構成されるエンタープライズモバイルアプリを開発、運用するための統合基盤。Mobile Security Suiteは、モバイルアプリとデータを保護、管理するための製品だ。
基調講演に登壇したOracle ソフトウェア開発ツール&フレームワーク担当バイスプレジデントのBill Pataky氏は、企業がモバイル対応で抱えている課題について次のように語る。
「BYOD(私的端末の業務利用)の浸透により企業にはさまざまなデバイスが持ち込まれるようになってきたが、きちんとデバイスをコントロールできているところは少ない。ITマネージャーの多くはセキュリティ確保に不安に感じているというのが現状だ。また、企業がモバイルアプリをシステムに統合にするには、APIを整備するなどバックエンド側の処理にも変更を加える必要がある」
ゲームやエンターテインメントなどのコンシューマ向けのモバイルアプリは、ユーザー獲得のために多くの時間と予算をつぎ込むが、企業のモバイルアプリ開発ではそうはいかない。限られた予算の中で対応する必要がある。
「Mobile SuiteとMobile Security Suiteは、企業のモバイルニーズに対応するソリューション。『開発の加速』『既存システムとの統合』『セキュリティの確保』といった課題をこの2つで解決できる」(Pataky氏)

Oracle モバイルアプリケーション開発製品担当 シニアプリンシパルプロダクトマネジャー Joe Huang氏
アプリ開発に必要なツールを1パッケージに
Mobile SuiteとMobile Security Suiteの詳細は、Oracle モバイルアプリケーション開発製品担当のJoe Huang氏によるセッションで紹介された。Mobile Suiteは主に以下の3つの製品をパッケージ化したものだ。
- Oracle Mobile Application Framework
- Oracle Service Bus
- Oracle E-Business Suite Adapter
Mobile Application Frameworkを使うと、単一のコードベースからiOSやAndroid対応のアプリを開発できる。JVMをアプリと一緒にパッケージ化して配布することで、マルチプラットフォーム対応を容易にすると同時に、テストの負荷も削減できるという仕組みだ。
OSごとのデザインテンプレートが用意されており、コードを変えずにネイティブアプリに近い操作感が得られるようになっている。もちろん、カメラやGPSといったデバイス機能を利用することも可能だ。