どんなApple製品が登場しようとしているのか推測することが、多くの評論家やアナリストに人気の娯楽となっている。この数年、われわれはAppleブランドのテレビについてもったいぶって話をしてきたが、その後は矛先を変えて、いわゆる「iWatch」が、すでに潤沢なAppleの銀行残高にいかに多額の金を追加しうるかについて話してきた。
しかしAppleは、賢い判断だと思うが、こうしたアドバイスを無視して、はるかに儲かる市場を狙うことに決めたようだ。それはヘルスケア市場だ。
提供:Apple
多くの人が気づいていないのは、Appleがすでにヘルスケア市場に参入していることだ。「iPhone」や「iPad」はすでに、歩数計から血圧モニタまで、さまざまな医療やフィットネス関連製品のハブになっている。しかしAppleは、すべてにAppleロゴがあしらわれた(費用がかかり、リスクも伴う戦略となる)独自のデバイスでヘルスケア市場に参入するよりも、サードパーティーがこうしたデバイスを開発できる、ソフトウェアプラットフォームを構築することに集中している。
そしてその戦略は効果を上げている。
「iOS」は、サードパーティー製ハードウェアのエコシステムという点では、最も恵まれたモバイルプラットフォームだ。わずか数年前には可能だとは思わなかったようなアクセサリが、iPhoneやiPad向けに提供されている。これは結局Appleが、開発者の開発ベースとなる安定した統合的プラットフォームを作り上げているということなのだ。Appleが5億台のiPhoneと2億台以上のiPadを販売し、サードパーティー製アクセサリの広大な潜在市場を作り出していることも一役買っている。
アクセサリメーカーにとって、これはうまく活用できる巨大なユーザーベースだ。
それから、Appleが「Made for iPhone」のライセンスプログラムで収益をあげていることも忘れてはならない。
ユーザーベースが存在し、iOSを取り巻いてサードパーティーによる大規模なヘルスケア関連アクセサリ市場が成長した今、当然進むべき次のステップは、Appleが現在「iOS 8」でしようとしている、あらゆるヘルスケアデータを1カ所に集約するプラットフォームを構築することだ。1日の歩数はこのアプリ、健康状態のデータは別のアプリ、栄養関連のデータはまた別のアプリ、というようにあれこれ探すのではなく、ユーザーデータ全てが1カ所で利用できるようになる。