日本写真印刷(京都市中京区)は、自社グループの経営戦略を支えるシステム基盤としてマネージドクラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」上でインメモリに対応した統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP」を稼働させている。SAPジャパンが8月28日に発表した。国内初という。
日本写真印刷が稼働させているSAP ERPは、日本に開設したデータセンター上で運用するHANA Enterprise Cloud上にある。インメモリ化したビジネスアプリケーション群「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を稼働させることで、常に最新のテクノロジを活用できる経営基盤を整備し、分析力の高度化と意思決定の高速化、急激に変化する経営環境への対応力を強化する。
日本写真印刷では、国内外29社のグループ共通の経営基盤として2010年からSAP ERPをオンプレミス、グローバルシングルインスタンスで構築、活用してきた。
同社のビジネスを取り巻く環境が急激な変化をみせており、競争の激化、市場環境の急激な変化などへのグローバルレベルでの迅速な対応力が求められていたという。そこで、より柔軟に変化でき、より早い意思決定を下すための経営基盤が必要と判断し、クラウドとインメモリ技術の経営基盤への適用を検討していた。
同社では、まず分析系に「SAP NetWeaver Business Warehouse(BW) Powered by SAP HANA」を日本の製造業として初めて導入し、経営基盤にインメモリ技術がどう寄与するのかを検証した。その結果、今までの分析作業が向上し、HANAの安定性の向上や機能にも満足したことから基幹系システムへもHANAを採用することを決定した。
同時に、運用のシンプル化と柔軟性を目的に基幹システムをHANA Enterprise Cloudへ移行することを決定した。新たな基盤への移行プロジェクトはSAPジャパンのサービス部門が中心となって実施し、8月17日に約7カ月で完了、本番業務停止時間を最小化するため「System Landscape Optimization」サービスをフル活用した。