THKは、日本、欧州、アジア、北米などにグローバル展開を進めるための経営基盤を支える「グローバル会計システム」を導入し、第一弾として7月からTHKとTHK新潟にて稼働を開始した。THKとともに構築を手掛けた日本IBMとソフトウェアを提供したSAPジャパンが、8月25日に発表した。
THKのグローバル会計システムには、インメモリープラットフォーム「SAP HANA」上で稼働する統合基幹業務システム(ERP)である「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を採用。同製品では国内で初めての本番稼働という。また、システム構築においてはHANAに対応した日本IBMのグローバル会計統合専用テンプレート「IBM Express Solution for Global Accounting(Ex-GA)」を利用し、開始から1年という短期間で稼働したとしている。
このシステムは、業務ルール、会計業務プロセス、決算期などをグローバルで共通化した会計システムで、IFRS対応といった法令や改正への柔軟な対応、決算早期化、ガバナンスや業務の標準化や集約化によるコスト削減など強い経営基盤の確立を目指す。対象業務は、一般会計、債権回収、債務支払、固定資産、単体決算、予算管理などで2015年度中までに世界21カ国と地域に展開する予定としている。
THKでは、ERPについて十分な性能と製品間の相互接続性、強固な耐障害性を必要としていた。これらの要件を満たすものとして、インメモリ―コンピューティングの高速性やBusiness Suiteとの親和性、耐障時の復旧性能を評価してHANAの採用を決めた。
HANAは可用性を特徴としており、電源障害やサーバ障害が原因でシステムがダウンした際にフェールオーバー機能で待機系のHANAに自動的にスイッチする。THKはこの機能を実装し、さらに信頼性を担保するためにデータセンター自体の障害に備えたHANAのディザスタリカバリ機能も採用した。この機能はシステムレプリケーションと呼ばれ、THKでは地理的に東西500キロメートル以上離れたデータセンター間でデータを同期している。
日本IBMは、このグローバル会計システムの構築において、グローバル会計統合専用のテンプレートであるEx-GAを活用した。Ex-GAは言語、文化、法規制、商慣習、社会、インフラといった各国固有要件に対応するための知見とひな形を用意しながら、プロセス、機能、データの標準化を推進し、HANAに対応したグローバルで統一された会計システムを実現する。
コンサルタントの知見、プロジェクトマネジメントの実績、多くのプロジェクトで実施してきた教育資産など、IBMがこれまで世界で培ってきたノウハウを活用するため、高品質なシステムを短期間、低コストで提供する考えだ。
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