サンフランシスコ発--TEDのセッションはビックアイディアや固定観念に縛られない考えを披露する場として知られている。だがIBMはヘルスケア、仕事、人々の生活が10年後、15年後、50年後にどうなっているのかにフォーカスを絞った現実的な話をした。
SFJAZZ Centerで開催されたTEDで、IBMはメインのセッションとは別にIBMと業界パートナーのイニシアティブで構成されるセッションシリーズを用意した。
IBMのマーケティングおよびシチズンシップ部門責任者のJohn Iwata氏は冒頭、「観察が生むパワー」を強調した。Iwata氏の考えでは、これは最も「軽視されているリーダシップスキル」だという。
「科学、技術、道理を応用することで社会の問題を解決し、人間の状態を改善できる」とIwata氏。「IBMはこれを強く信じている」と続けた。
IBMにとっては、ビックデータとクラウドが生むパワーということになる。
IBMでヘルスケアソリューションデリバリー担当コンサルタントを務めるMonika Blaumueller氏は、ヘルスケア分野の革新を提供するにあたって経済的および地理的な制限があることを認めながらも、支援活動を根本から効率化できる豊富かつ再利用可能なリソースがあるとした。「ビックデータの洪水、そしてこれまでにない形でこれを活用すること」だ。
たとえば、エボラ熱は世界保健機関(WHO)がウイルスを発見する9日前に、アルゴリズムにより発見されていたという。
IBMのソフトウェア事業部でインテグレーションガバナンス担当バイスプレジデントを務めるInhi Cho Suh氏は、ビックデータとクラウドがヘルスケア分野でどのように交錯するのかについて語った。
医療の現場は「騒音に縛られて」おり、医師や看護婦は長い間、患者の状態を警告するなどの目的で音を利用してきた。
だが、違う将来だって想像できるとSuh氏。患者が安静に療養できる医療現場だ。
音のない現場は活気がなく、むしろ恐怖を覚えるかもしれない。だが、患者にとってはリラックスできるだろうとSuh氏は言う。これを実現するのがビックデータだ。
Suh氏によると、診断には時間によって変わる200以上の重要な変数が影響するが、時間を費やして分析するのではなく、医師は情報をクラウドで共有すれば集合知による洞察をリアルタイムで得られるという。
「マシンは人間の代わりにはならない。マシンは人間を支援するものだ」とSuh氏は念を押し、ビックデータとクラウドを活用することで、ヘルスケア事業は人間の注意力と交流を再度優先できる、と続けた。
実現には複雑な機能が要求され、医療コミュニティーにおけるリーダーとの提携が必須となる。Apple、Samsung、Googleなどの大手ハイテク企業がデータ主導のヘルスケアを模索しており、IBMも提携を重要視している。
だがここでは、観察は適切なアプローチではないかもしれない。ヘルスケア分野におけるソーシャル共有により患者は「受動的な観察者から能動的な貢献者」に変わるだろうとSuh氏は述べた。
IBMはこのほか、同社がプッシュしているコグニティブ(認知)コンピューティングの取り組みについても語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。