IBM、ビックデータとクラウドを活用したヘルスケアの将来を展望

Rachel King (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-09-25 11:53

 サンフランシスコ発--TEDのセッションはビックアイディアや固定観念に縛られない考えを披露する場として知られている。だがIBMはヘルスケア、仕事、人々の生活が10年後、15年後、50年後にどうなっているのかにフォーカスを絞った現実的な話をした。

 SFJAZZ Centerで開催されたTEDで、IBMはメインのセッションとは別にIBMと業界パートナーのイニシアティブで構成されるセッションシリーズを用意した。

 IBMのマーケティングおよびシチズンシップ部門責任者のJohn Iwata氏は冒頭、「観察が生むパワー」を強調した。Iwata氏の考えでは、これは最も「軽視されているリーダシップスキル」だという。

 「科学、技術、道理を応用することで社会の問題を解決し、人間の状態を改善できる」とIwata氏。「IBMはこれを強く信じている」と続けた。

 IBMにとっては、ビックデータとクラウドが生むパワーということになる。

 IBMでヘルスケアソリューションデリバリー担当コンサルタントを務めるMonika Blaumueller氏は、ヘルスケア分野の革新を提供するにあたって経済的および地理的な制限があることを認めながらも、支援活動を根本から効率化できる豊富かつ再利用可能なリソースがあるとした。「ビックデータの洪水、そしてこれまでにない形でこれを活用すること」だ。

 たとえば、エボラ熱は世界保健機関(WHO)がウイルスを発見する9日前に、アルゴリズムにより発見されていたという。

 IBMのソフトウェア事業部でインテグレーションガバナンス担当バイスプレジデントを務めるInhi Cho Suh氏は、ビックデータとクラウドがヘルスケア分野でどのように交錯するのかについて語った。

 医療の現場は「騒音に縛られて」おり、医師や看護婦は長い間、患者の状態を警告するなどの目的で音を利用してきた。

 だが、違う将来だって想像できるとSuh氏。患者が安静に療養できる医療現場だ。

 音のない現場は活気がなく、むしろ恐怖を覚えるかもしれない。だが、患者にとってはリラックスできるだろうとSuh氏は言う。これを実現するのがビックデータだ。

 Suh氏によると、診断には時間によって変わる200以上の重要な変数が影響するが、時間を費やして分析するのではなく、医師は情報をクラウドで共有すれば集合知による洞察をリアルタイムで得られるという。

 「マシンは人間の代わりにはならない。マシンは人間を支援するものだ」とSuh氏は念を押し、ビックデータとクラウドを活用することで、ヘルスケア事業は人間の注意力と交流を再度優先できる、と続けた。

 実現には複雑な機能が要求され、医療コミュニティーにおけるリーダーとの提携が必須となる。Apple、Samsung、Googleなどの大手ハイテク企業がデータ主導のヘルスケアを模索しており、IBMも提携を重要視している。

 だがここでは、観察は適切なアプローチではないかもしれない。ヘルスケア分野におけるソーシャル共有により患者は「受動的な観察者から能動的な貢献者」に変わるだろうとSuh氏は述べた。

 IBMはこのほか、同社がプッシュしているコグニティブ(認知)コンピューティングの取り組みについても語った。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]