オムニチャネルは既存顧客の囲い込みや単価上昇を狙うべき--エスキュービズム - (page 2)

大河原克行

2014-10-15 10:00

買い取った中古品をオンラインで全国販売

 武下氏によると、エスキュービズム・テクノロジーのユーザー企業でオムニチャネルによる成功事例がいくつか上がっているという。

 丸善とジュンク堂では、100店舗をあわせた書籍の在庫数が、Amazonよりも品揃えが多いというメリットを生かし、店舗の在庫とオンラインの在庫情報を連携。オンラインで注文すると、1時間以内に店舗から連絡があり、書籍を取り置きしてくれるというサービスを展開しているしている。

 「通知をもらってから30分で店舗に取りに行けば、Amazonよりも早く書籍が手に入る。出張直前でも入手できる」という。5人に1人が店舗での取り置きを希望しており、これが来店頻度の上昇にも直結。受け取りついでに別の本を購入するという動きにもつながっているという。

 ハードオフコーポレーションでは、それぞれの店舗で買い取った中古品を、これまでの個店ごとの販売から、オンラインモールでも全国販売する仕組みを導入することで売り切り率を高めることに成功したという。

 店舗で買い取った製品は、POSレジに登録するとそのままオンライン販売サイトに商品が掲載され購入できる。購入者は最寄りの店舗に現物を取り寄せ、確認してから購入を決定することも可能だ。「これまでは買い取った店舗でしか販売ができなく、商圏が限られていたが、この仕組みで全国の中古商品愛好家がターゲットとなり、マッチング率が向上した」と効果を説明した。

 10月1日からは、パレットプラザと55ステーションを展開するプラザクリエイトが、580店舗でWindowsタブレットのSurfaceを利用したPOSを導入。業界で初めて、実店舗で楽天ポイント機能を搭載したPOSシステムとし、実店舗での楽天ポイント付与に加えてネットモールの楽天市場で貯めたポイントをプラザクリエイトの全店で使用できるようになる。タブレットで楽天ポントカードを読み取ると、購買履歴に基づいて、顧客の趣味や嗜好に沿った商品をお勧めとして表示。店員はそれをもとに、本部指示によるセールストーク用の文章を見ながら、接客できるという。

 タブレットそのもので決済することに不安を感じる店員や顧客が多いと判断し、タブレットをむき出しで利用せず、専用オリジナル什器で覆うことで従来のレジ形態によるデザイン性と操作性を踏襲し、店舗オペレーションに支障が出ないよう配慮しているのも特徴と説明する。

 サニーテーブルが展開する高級レストランのCasita(カシータ)では、店舗間で顧客情報を共有している。青山の店舗を利用した顧客が、翌日に赤坂の店舗を利用した際に、顧客の好みや前日に食べた料理やワインの種類などを把握し、それをもとに料理を提案するといったができるようになっている。

 このようにオムニチャネルの活用で自主顧客の囲い込みと単価上昇、顧客満足度を高めるといった成果が上がっているという。

O2Oとオムニチャネルの比較
O2Oとオムニチャネルの比較

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