日本マイクロソフトは10月29日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京において、「Microsoft Dynamicsフォーラム2014」を開催した。
今年で4回目となる同イベントは、「企業を進化させる情報活用のアプローチ」をテーマに、企業向けCRMおよびERP製品群である「Microsoft Dynamics」の最新状況を紹介。ユーザー企業のプロジェクト責任者が登壇し、各社におけるDynamicsの導入状況を知らせた。
日本マイクロソフト Dynamicsビジネス本部長の日隈寛和執行役は「どんな課題があり、どんなチャレンジをし、どう克服したのかを、ユーザー自らの体験談として紹介してもらう場にしている」と話す。
基調講演のあいさつに立った日本マイクロソフトの代表執行役社長である樋口泰行氏は「顧客やパートナーからの期待を感じている。多くの方が“じっとしていては駄目”という気持ちを持ち、ICT導入を真剣に検討することを前提に来場していると感じた」と切り出した。
日本マイクロソフトの代表執行役社長である樋口泰行氏
「2020年の東京オリンピック開催に向けて、日本の競争力を復権させようという機運がある。そのときに重要なのは、生産性をあげるということ。日本の場合は、工場やサプライチェーンの生産性向上は進んでいるが、ホワイトカラーの生産性はまだ遅れている。そこにICTを活用する必要がある」(樋口氏)
また、安倍政権が、労働時間の長さではなく成果が認められる社会が重要と提言していることを挙げ、DynamicsがOfficeとの連携で高い生産性を発揮できるツールであることや、クラウドとオンプレミス、パートナーが展開するクラウドサービスとも柔軟に連携できることなどをアピールした。
一方、日本マイクロソフトの執行役で、Dynamicsビジネス本部長の日隈寛和氏は「マイクロソフトのクラウドサービスはAzure、Office 365、Dynamics CRM Onlineという3つで構成される。これを社内では三本の矢と呼んだり、クラウド三兄弟という呼び方をしている」と前置きし「日本マイクロソフトはDynamics CRM Onlineに本気である。なぜならわれわれ独自の解決策を顧客に提示できるからだ」とした。
日本マイクロソフトの執行役で、Dynamicsビジネス本部長の日隈寛和氏
現在、日本国内において7年連続で2ケタ成長を遂げているというDynamics。最大の特徴は、前述した通りOfficeとの連携という。Dynamics CRM Onlineを連携することで、経営者はビジネスインテリジェンス(BI)ツールである「Power BI」を利用し、いち早く経営判断できる。現場ではSharePointやYammerを利用してコミュニケーションを活性化させるとともに、業務の効率化を実現。Dynamics CRM Onlineの活用によって成約率を高められるとした。
さらに、Dynamics CRM Onlineには、ユーザーエクスペリエンスを追求した「操作性」、コミュニケーションやコラボレーションツールとの「親和性」、ユーザーのビジネスの変化に柔軟に対応する「拡張性」という3つの特徴があると説明。
特に、Dynamics AXでは41言語および36カ国の税法や、各国の通貨表示に対応できるグローバル対応が特徴だとし、Dynamics CRMでは営業支援のフレームワークを提供するだけでなく、統合型CRMであることを強調した。
さらに、9月から日本語版を提供しているマーケティングプランニング、予算管理などを可能とするマーケティング機能を提供開始していること、今後はカスタマーケア機能や、ソーシャルリスニング機能などを日本語で提供することを公表。「ソーシャルメディアの感情分析を日本語環境で行えるようになる」とした。
なお、Microsoft Dynamicsフォーラム2014では、東芝によるMicrosoft Dynamicsの導入事例に関するパネルディスカッションのほか、CRM、ERP、マーケティングの3つの観点から、イーオンやユナイテッドアローズ、オウケイウエイブなどの導入事例が各社から説明されたほか、併設された展示会場では、17社のパートナー企業によるソリューション展示も行われた。