アップルが抱える10の市場リスク--年次財務報告書「Form 10-K」を読み解く - (page 2)

Jordan Golson (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-11-12 06:00

5.将来の営業実績は、Appleが必要な量の部品を調達する能力に依存している。

 Appleはスクリーン、ストレージ、アルミニウム、携帯電話のアンテナ、レアメタルなど、製品を構成する部品を大量に調達しており、それぞれがまた大量の材料を必要とする。これらが品切れになったり、何らかの不足が生じたり(数年前にバングラデシュで発生した広範囲にわたる洪水は、ハードディスク不足を招いた)することで、Appleの製品製造能力が影響を受ける可能性がある。

 「Appleへの新製品や既存製品の部品供給が遅延したり、制約されたり、重要なメーカーからの完成製品の出荷が遅れる可能性がある」

6.Appleは、アウトソーシングパートナーが提供する部品や製品の製造および物流サービスに依存しており、それらのパートナーの多くは米国外にある。

 Appleの部品や製品のほとんどは、中国で生産されている。Appleは製造や流通をアウトソースすることで多額の資金を節約しているが、これには代償がある。同社は製品情報のリーク、供給量のコントロールに関する制約、状況変化への対応の難しさなどの問題を抱えている。確かに、Appleのパートナーはそれらの問題を解決すべく最大限の取り組みを進めるだろうが、必ずしもうまくいくとは限らない。

 また、中国で生産することに関するリスクもある。中国は、未解決の長期的な政治的・軍事的問題を抱えている。

 「これらの処置は部品や完成品の供給確保に役立つが、これらのアウトソーシングパートナーや供給業者に重大な財務的問題やその他事業への致命的問題が発生した場合、それらの資産の正味実現可能額にマイナスの影響を受ける可能性がある」

7.Appleの製品とサービスには、品質問題が発生する可能性があり、これが売り上げの減少や売上高営業利益率の低下を招くと同時に、Appleの評判を傷つける可能性がある。

 これはかなり分かりやすい要因だ。「iPhone 4」で発生した「アンテナゲート」問題や、「iPhone 6」の「ベンドゲート」問題のようなスキャンダルは、顧客の評判を傷つけ、売り上げに悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、同社はこれまでのところ、この種の問題を比較的上手に切り抜けてきたように見える。

 「Appleが、自社が販売するハードウェア、ソフトウェア、サービスのすべての欠陥を発見し、修正できるという保証はない」

8.Appleはサードパーティのデジタルコンテンツへのアクセスに依存しており、同社はそれらのコンテンツを、商業上合理的な条件で利用できるとは限らない。

 AppleはiTunes Storeで大量のコンテンツを販売しており、これには音楽、映画、テレビ番組、本なども含まれる。同社は長年、音楽コンテンツ(例えばThe Beatles)の獲得に苦労してきたし、iTunes Storeで動画を取り扱い始めたときにも、映画スタジオやテレビスタジオとの契約獲得に困難があった。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]