一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)は11月13日、オープンデータの動向などについての会見 を開催した。代表の庄司昌彦氏は、G8サミットでオープンデータの推進に合意した「オープンデータ憲章」に基づき、サミット参加各国がアクションプランを策定しているなどの現状を説明、オープンデータの推進する速度が増しているとした。
国内でも政府が、世界最先端IT国家創造宣言でオープンデータを推進していることに加えて、民間企業でもリクルートや東京メトロがオープンデータを利用したハッカソンやアイデアソンを開催するなど活動が広がっている。
一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン 代表庄司昌彦氏
一方、このような民間企業で開催するイベントの際、解放されるデータが「ビジネス利用不可」であるなどデータの形式が「一般的にはオープンと呼べないような例も出てきた」と指摘。改めて、「(ネットなどで容易に)利用できる、そしてアクセスできる」「再配布、再利用可能」「誰でも使える」など、オープンデータの定義を紹介した。オープンデータの形式は統一することに意義があるとする一方、「企業として何が起こるかわからないリスクに対応する必要があるのは理解できる」とした。
政府が公開しているオープンデータの取り組みに関して「データのセキュリティやガバナンスが問われることが多いが、そもそも(個人情報を含まない)公開可能なデータだけをオープンにしており、ナンセンスだ」と訴えた。
庄司氏は、オープンデータの国際的なイベントである今年の「Open Knowledge Festival 2014」に出席した経験から、「アフリカなど途上国でもオープンデータの潮流がある」とし、オープンデータの価値は経済的な価値だけでなく、インターネットのように社会の仕組みや仕事の仕方を変える(インフラとしての)価値があると強調した。
内閣官房 IT総合戦略室 田雑征治氏
内閣官房 IT総合戦略室 田雑征治(たぞうせいじ)氏は政府のオープンデータに関する取り組みを紹介。内閣府では「経済の活性化、新規事業の創出」「官民協働による公共サービスの実現」「行政の透明性・信頼性の向上」がオープンデータの価値であるとし、2012年からオープンデータを推進、10月にはデータカタログサイト「DATA.GO.JP」の本格版を公開するなど、データの解放や活用を推進している。
田雑氏はまた、政府の利用規約「政府標準利用規約(第1.0版)」に沿って、利用できる取り組みを紹介した。現在76%の各中央府省ページが誰でも利用できる状態になっており、2014年度末までにすべての各府省のサイト情報の解放を目指す。
今後は地方自治体にもオープンデータの利用をおしすすめ、どの情報を公開すべきかなどガイドラインを策定し、公開するだけでなく、活用もできるように注力するとした。
OKFJは今後、ハッカソンなどを国際的に一斉に開催する「インターナショナルオープンデータデイ」を2015年2月21日に設定、開催をサポートすると発表。日本だけで100会場でのイベント開催を目指す。
今年のインターナショナルオープンデータデイでは多くの自治体職員も参加した。千葉市職員の松島隆一氏は、6月に公開済みの地域の課題を解決する取り組み「ちば市民協働レポート(ちばレポ)」は2013年のオープンデータデイから着想を得ていたことを明らかにし、イベント参加の意義を訴えていた。