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アジャイル開発とセキュリティを両立--マネーフォワード市川CIO - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-11-20 14:58

--大きな変更が3回あったとは、具体的にどのような変更だったのか。

 はじめはサーバ1台に必要な機能を全部詰め込んでいたようなフェーズがありました。それから機能ごとに分離していき、台数が5台から10台になったフェーズに移行し、あとはスケールアップしていくものと、スケールアウトしていくものを機能別に分けていきました。さらに、ネットワークの帯域が耐えられるか、このままの仕組みで10倍のトラフィックに耐えられるかということを考え、サーバを100台に増強しました。サーバの台数で言えば、数台から始まり、10台、50台と増やし、今は130~150台くらいになっています。

使いづらいオートスケール

--オンプレミスでも、サーバを短期間に増設していくような経験はあったか。

 ビジネスが伸びる上で必然的に増やさなければならないときがあります。それが簡単に短期間で手に入るのか、あるいは首を長くして待たなければならないのか、そこの差だと思います。株や為替は、市況によってかなり負荷が変わります。株価が上がっているときは、たとえば先月のピークが今月の平均になったり、今月のピークが翌月の平均になったりすることがあります。

 スケールアウトしづらいデータベースサーバだと、発注して納品されて、そこにインフラをセットアップしてミドルウェアと移行計画、移行テスト、リハーサルと実施していくので、切り替えまで4カ月ほどかかり、その先を想像しながら発注しなくてはなりません。しかし予想に反して株価が下がって(トラフィックが低下して)しまったら、その時点で必要ないものになってしまう可能性があります。

 一方で、利用率が100%になってしまってシステムが止まることも困るため、サーバを早めに発注せざるを得ない。その中で、コントロールできる範囲でやっていた感じです。そこで判断を誤ると、ピークの時間帯で取り引きに遅延が発生することになり、障害につながりかねません。短期間で増やすような場合でも、見切り発車での発注が必要になるため、増やすことはできても減らすことは難しいですね。

 ピークという点では、以前(ニュース番組)「ワールドビジネスサテライト(WBS)」に取り上げられた際、ピーク性を実感しました。テレビに何時何分に出るというのがわかっている場合もあれば、いきなりヤフートピックに記事が出てピークが来るという2パターンがあります。事前にピークがわかっているときは、オートスケールという機能がありますが、これが意外に使うのが難しい。それよりも、事前に電話して大きくしてもらう方が確実です。

 オートスケールは自動でサーバリソースが大きくなりますが、システムとしてアクセスが増えてくると感知して対応する帯域は少ないのです。ちょっと増やして、足りないとまた少し増やすという具合に。そうしているうちに10~15分経ってしまう。15分も経つと放送が終わっていますよね。だから、テレビ放送があらかじめわかっていれば、AWSのサポートに電話して、このくらいのアクセスが想定できるから大きくしておいてと依頼するようにしています。

 初期の頃に一度(オートスケールだけで対応していたら)、20分ほどサービスが止まってしまったことがあります。それで調べたら、(急激な伸びに対応するには)事前に電話しないとダメということがわかりました。オートスケールとはいえ、最後は人間です。ワールドビジネスサテライトには、個人向けのサービスと法人向けのサービスで2回われわれが登場したことがありますが、2回目はあらかじめその対応をしたのでスローダウンすることなく乗り切ることができました。

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