デルは11月14日、大阪・梅田のザ・リッツ・カールトン大阪で「Dell Solutions Roadshow 2014 Osaka」を開催した。「Future-Ready IT Solutions~未来をデザインするITソリューション~」と題し、「コネクト」「トランスフォーム」「インフォーム」「プロテクト」という4つの切り口から、戦略的IT投資を実現するという最新の技術や製品、事例などを紹介した。
法人ユーザーや官公庁、教育、医療などの最高情報責任者(CIO)、情報システム部門、システム管理者、ITマネージャーのほかデルのパートナー企業も参加。パートナー企業向けには「Dell Partner Summit」を開催し、今年度のパートナー戦略を説明した。展示ブースでは、サーバやストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、クライアントなどのエンドトゥエンドソリューションを展示していた。
“ソフトウェアデファインド”に移行
基調講演では、デル代表取締役社長の郡信一郎氏が「Future-Ready IT Solutions」をテーマに同社の取り組みを説明。「今年は米Dellが創業から30周年の節目を迎えた。大阪でのSolutions Roadshowの開催も今年で5回目となる。毎年、開催を重ねる中でデルが顧客やパートナーの役に立つという点で進化していることを感じてもらいたい」と呼び掛けた。「顧客と話をすると検討事項やテーマを4つにまとめることができる」と語りながら、クラウド、ビッグデータ、モバイルデバイス、セキュリティといった最新市場動向を説明した。
デル 代表取締役社長 郡信一郎氏
「今後3年以内にクラウドを導入する予定であると回答している企業は85%に達する。いまやバズワードを超えて、いかに迅速に導入していくかが重視される時期に入ってきている」
郡氏は続けて「2020年には年間のデータ生成量が35ゼタバイトに達すると予測されている。これは言い方を変えると35兆Tバイトとなり、1Tバイトのストレージを搭載したPCが35兆台も必要となる。情報が爆発している時代であり、それらの情報に迅速にアクセスし、どう利用するかが大きな課題となっている」と指摘した。
「近い将来には、仕事に使われるエンドユーザー所有デバイスの構成比が63%に達すると予測されている。現時点では十数%にとどまっており、まだ多くの企業で会社が支給するデバイスを使っているが、今後数年の間に個人が所有するスマホやタブレット、PCが企業の中で使われるようになる。それを支える基盤はシンプルで柔軟性があるものでなくてはならない」
郡氏はまた「1年間で何らかのITセキュリティインシデントを経験した企業は79%に達しており、セキュリティの懸念は多くの顧客が感じている課題である」と解説。そして、郡氏はデルが提唱する「Future-Ready IT Solutions」の取り組みにも触れた。
Future-Ready IT Solutionsは、11月上旬に米オースティンで開催した年次イベント「Dell World 2014」で米Dellチェアマンで最高経営責任者(CEO)であるMichael Dell氏自らが改めて強調したキーワードだ。
郡氏は「ITインフラは、ハードウェアがシステムを定める形から“ソフトウェアデファインド”と呼ばれるソフトウェアがシステムを定める形へと移行している。仮想化の流れもそのひとつである」と説明し、こう続けた。
「デルは、こうした変化を捉えて、どのような将来性を持つべきか、それに適したITインフラは何か、それをどうやって提供すべきか、ということを考えている。時代が変化するのは普遍的だが、その変化は不連続のものとなっている。そうした変化の中でデルは、俊敏性が高く、コスト効率性を持った製品、技術、サービスを提案していく。それがFuture-Ready IT Solutionsである」
Future-Ready IT Solutionsは、今年になってDellが提唱し、今回のDell Worldで改めて強調されたものだが、郡氏によると「Future-Ready IT Solutionsという観点からの製品やサービスは、2014年に出てきたものではない」とする。
「デルは、2世代前のサーバでソフトウェアで複数のサーバを管理するといった提案をすでに行っており、Fluid Dataアーキテクチャでは、階層化を自動化でき、Compellentではストレージの仮想化を提案してきた。そして、Force 10は、SDNを他社に先駆けて提案したものになっている。これらのFuture-Ready IT Solutionsの製品群は、多くの顧客の導入実績につながっている」
Fortune 1000のうち、9割の企業でDellのソフトウェア製品を利用しているほか、ソーシャルネットワークプロバイダーの4社のうち3社がDellのシステムを活用し、ここでは毎日10億人のユーザーがコミュニケーションを行っているという。「これだけ大きなコミュニケーションインフラを支えているのがDellである」と郡氏は胸を張る。
GartnerのMagic QuadrantでSecureWorksが現在の実力や将来性で最も高い評価を得ており、セキュリティ分野のリーダーになっていることに加えて、エンタープライズサポートではナンバーワンの評価を得ていることを強調。サーバビジネスでは北米、中南米、アジア太平洋と日本でナンバーワンとなっていること、ストレージの出荷量ではナンバーワンとなり、iSCSIでは6年連続でのナンバーワンを獲得しているといった実績を示してみせた。