米Dellは11月5日から3日間、米テキサス州オースティンで年次イベント「Dell World 2014」を開催した。5日のパートナーイベントの後となる6日、オープニングの基調講演に登壇した会長兼CEOで創業者のMichael Dell氏は約5000人の来場者を前に、非公開企業となってから1年の成果を満面の笑みで披露した。
PCからデータセンター、クラウドまでエンドツーエンドでソリューションを提供するDellの戦略に変更はないが、非公開企業となることで何が変わったのか――。
Dellは今年、創業30周年。19歳で創業したMichael Dell氏も49歳だ。
Dell氏はまず「今年のDell Worldは、現実的なイノベーションを大規模に見せる」と述べる。会期中、新世代のコンバージドインフラ「Dell PowerEdge FX」をはじめとしたエンタープライズハードウェア、「Dell Venue 11 Pro 7000 Series」タブレットや初の5K解像度(5120×2880ピクセル)を持つモニタ「Dell UltraSharp 27 Monitor」などのコンシューマー向けハードウェア、セキュリティソフトウェアを集めたスイート「Dell Software Suite」や120GbpsDPI(ディープ・パケット・インスペクション)を統合した次世代ファイアウォールなどを発表した。
Dellはここ数年、PCで行った標準化アプローチによる簡素化と低コスト化を、サーバ、ストレージ、スイッチなどに適用し、ソフトウェアにもテリトリを拡大。エンタープライズベンダーに向けて事業拡大を図ってきた。
「PC事業を持つことは強み」
既にPC事業を切り離し、x86サーバをLenovoに売却したIBM、PCとプリンタ、ハードウェアとサービスを分社化すると発表したHewlett-Packard(HP)と自社を対比させ、「エンドツーエンドは両方のエンドが必要」とPC事業を持つことが今後強みになるとする。
非公開企業となったことで、短期的な業績に左右されずに長期的成長計画の下に実行していく、これが非公開企業としてのDellのメッセージだ。「事業すべてに完全にコミットしている。短期的にも長期的視点でも」とDell氏。「Dellなら信じられる」と会場に向かって安定性をアピールした。
同氏は、顧客のEmersonのプロセスマネジメント担当最高戦略責任者、Peter Zornio氏をステージに招いた。同社はセンサ、制御システム、仮想化、アプリケーションを石油ガス、電力、鉄鋼などさまざまな顧客にプロセス制御機器を提供し、センサからの情報収集、分析、サービスと保守と包括的な機能を備える。