シトリックス・システムズ・ジャパンは11月18日、都内において同社の年次コンファレンス「Citrix Mobility 2014 エンタープライズ ソリューション フォーラム」を開催した。
シトリックスは2014年度のビジョンとして、「Work Better. Live Better」を掲げている。それを実現するためには、モバイルワーク環境の構築が不可欠だ。いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも、あらゆるネットワークを介してデータにアクセスし、セキュアな環境でファイルの共有やコラボレーションを実現する。
シトリックス代表取締役社長のMichael King氏
基調講演に登壇した同社代表取締役社長のMichael King氏は「従業員の生産性向上の観点からも、モバイルワーク環境はますます重要になる。従業員にとって働きやすい環境を構築すべく、企業はITインフラを整える必要がある」と訴えた。
King氏は、現在日本企業が抱える課題として、「少子高齢化への対応」「事業継続性」「グローバル経営」「セキュリティ&コンプライアンス」「コンシューマライゼーション」を挙げる。中でも重要なのが、コンシューマライゼーションだ。
デジタルネイティブ世代にとって、使い慣れたデバイスで業務をするのは当たり前となっている。King氏は、「企業ITのモバイル化が必要だ。それには過去の業務フローを根本的に見直してワークスタイルを変革し、企業と社員のエンゲージメントを強化しなければならない」と訴えた。
全日空のワークスタイル変革
全日本空輸上席執行役員 業務プロセス改革会議 議長 業務プロセス改革室の幸重孝典氏
基調講演では、ワークスタイル変革の実践企業として、同社の顧客である全日本空輸の事例が紹介された。登壇した全日本空輸上席執行役員 業務プロセス改革会議 議長 業務プロセス改革室の幸重孝典氏は、ワークタイル変革に着手した理由について「国際線比率が拡大し、外国航空会社との連携強化など、グローバルな競争環境下にある。自社を取り巻く環境の変化に対応するには、生産性向上が必要だった」と語った。
ANAは「XenDesktop」および「NetScaler」を導入し、DaaS環境を構築。フリーアドレス化により、施設関連コストの大幅削減を実現した。さらに、モバイルとクラウドを最大限に活用し、空港、本社、各営業所などどこからでも必要な情報に安全にアクセスできる環境を構築。「会社のデスクでなければ仕事ができないという過去の業務プロセスを段階的に改革していった」(幸重氏)という。
同社は、3月にクラウド型ボイスコミュニケーションを導入した。幸重氏は「固定電話は(既存の業務プロセスの)最後の遺産。デスクに縛られていた“根源”をモバイルに切り替えた。現在はPCとモバイル電話があれば、どこでも会社と同じ働き方ができる」と説明する。なお同社では、DaaS環境をOA系から業務系にも拡大すべく、HTML5ベースの「Citrix Receiver」を搭載したChromebookの導入も検討しているとのことだ。