シーエーシー(CAC)は、同社が提供する年金管理パッケージサービス「Micmari」のビッグデータ基盤を、オープンソースの分散処理基盤であり、企業での活用を目的に設計された米MapR TechnologiesのHadoopディストリビューション「MapR」で構築した。構築を手掛けた伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)が12月22日、発表した。
CACは、情報システム関連サービスやBPO/BTOサービスを提供している。同社が提供するMicmariは、信託銀行向けに多くの年金システムを構築してきた実績とノウハウを生かし、制度変更などに伴い増大するシステム維持管理コストの削減や、制度変更などへの迅速な対応を可能とする年金管理パッケージサービス。
同じくCACの製品であり、HadoopアプリケーションをGUIで開発できる「AZAREA-Cluster」を用いて開発されている。企業、基金や受託機関などの企業年金の関係団体が、同一のプラットフォーム上で年金管理を実施でき、受託機関や基金の固有の戦略的な機能についてもカスタマイズできるウェブサービスとなっている。
CACでは、サービス提供にあたり、管理対象の人数次第では数テラバイトにも及ぶ大量データを安全かつ迅速に処理ができ、急激な計算量の増加にも柔軟に対応できる基盤を求めていたという。
今回、CTCが構築したMicmariのビッグデータ基盤は、金融サービスや小売業など、グローバルで500社以上の提供実績があるMapRのHadoopディストリビューションを採用している。
MapRは、オープンソースの分散処理ソフトウェアであるHadoopを独自に強化し、パフォーマンス、高可用性や耐障害性の向上とデータ保護などの追加機能により運用性も向上させた。1つの統合ビッグデータプラットフォームの中で、安定性と使いやすさ、高い処理性能を実現しているという。
MapRの採用により、CACは初期コストや運用コストを抑えて、バッチ処理時間の短縮とそれに伴うシステム利用可能時間帯の拡張など、より高品質で柔軟なサービス提供を実現した。
また、Micmariは、ITインフラから運用、保守までを提供するCTCの独自クラウドサービス「ElasticCUVIC」上で稼働しており、CTCはCACと共同で、ビッグデータに特化したCTCの検証施設「Big Data Processing Lab(BPL:ビッグデータ・プロセッシング・ラボ)」を使用して、MicmariとElasticCUVICにMapRを組み合わせた事前検証も行った。