田中克己「2020年のIT企業」

社会ソリューションに賭けるNEC

田中克己 2015年02月10日 07時30分

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 「世界の都市人口が2050年に2011年比で1.8倍の63億人に拡大する結果、エネルギーや食糧、水などの需要がそれぞれ50%以上増える」。NECはこんなデータを示し、社会のさまざまな課題をITで解くことの重要性を訴えるとともに、社会ソリューション事業へのシフトを推し進めている。

 背景には、IT産業の水平分業によって、日本のIT企業は欧米IT企業の販売代理店と化してしまったことがある。パソコンや携帯などのハードウエア事業は中国や韓国、台湾などに負ける。そんな状況を打ち破れるのが社会ソリューションということ。

 少子高齢化が急ピッチに進むなど、日本は社会課題先進国と言われており、その解決は先進的な有効策として世界に売り込める。NECの明日の姿が、そこから見えてくるだろう。

センサや分析などの技術を生かす

 NECは2年近く前の2013年4月、公共と一般企業、通信といった顧客別組織に再編した。狙いは、顧客別のソリューションを作ること。とはいっても、個社ごとに特注のシステムを作り上げるわけではない。社会の抱えるさまざまな課題を、国や地域、企業、個人のレベルからITで解決することにある。

 例えば、水資源の確保は世界各地で喫緊の課題に浮上している。解決の1つは、地中に埋まっている老朽した水道管の水漏れを発見し、素早く補修すること。そこで、NECはスイスの企業と手を組み、センサで検知した水流音のデータを収集、解析し、水漏れの場所を特定する漏水監視システムを開発した。

 ここには、水圧センサや振動センサ、画像認識、ビッグデータなどの技術が生かされている。水需要予測と組み合わせれば、水資源の効率的な管理、活用を可能にする。

 こうした設備の故障予兆は、NECが得意とするもの。中国電力島根原子力発電所に、出力や温度、圧力などの運転データから、「いつもと違う挙動」という設備の異常を早期に検知する故障予兆監視システムが稼働している。設備プラントに設置したセンサからのデータを、NEC独自の分析技術を駆使し、故障を予知するもの。トンネルや橋梁など、応用範囲は数多くありそうだ。

 画像認識も、NECの得意分野である。アルゼンチンで稼働する街中監視システムは、顔認証技術を駆使し、犯罪などの防止に活用されているという。

 主要な鉄道や船のターミナルなどに設置したカメラの映像と、登録した写真データベースを照合し、行方不明者の捜索、不審な行動する人や車を見つけ出すことに使える。過去の犯罪発生地域を示す犯罪発生マップと組み合わせて、事件、事故が起きる前に対策を取ることにも応用できる。

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