NECは2月17日、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」の基盤を担うデータセンター(DC)事業を国内外で強化すると発表した。
神戸市内に西日本のフラグシップDCとなる「NEC神戸データセンター」を2016年4月に新設するほか、海外DCの拡充やNECの国内外DCを結ぶネットワークを構築するなどDC事業のグローバル展開も実施する。これらの取り組みを通じて、クラウド基盤事業において2017年度に1200億円の売り上げを目指すとしている。
新たに設けられる神戸DCは、マシンルーム床面積4000平方メートル、ラック数1500。2014年1月に開設した「NEC神奈川データセンター」と並ぶフラグシップDCとして位置付けられ、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」とハウジングサービスのハイブリッド利用が可能。両サービスを組み合わせたハイブリッド利用により、顧客システム全体の最適化および運用効率化を実現する。
本DCの立地は大阪駅から約1時間のアクセス、かつ活断層から7km以上、海岸から9km以上で、自治体が定める洪水、土砂災害、液状化のハザードマップ被害想定区域外だという。
高い精度を持つ顔検出、顔照合エンジン「NeoFace」と小型で高精度な赤外線カメラを不正侵入対策に活用し、入退室管理には歩きながらの本人確認と共連れ防止が可能な「ウォークスルー顔認証」を採用するなど、高度なセキュリティと利便性の両立を図った。
また、1ラックあたり700台のサーバを収容できるDC専用の省電力・高集積サーバ「Micro Modular Server」や、冷媒の気化、液化の際の熱循環により効率的に冷却可能な「相変化冷却ユニット」などの採用により効率を追求し、PUE(Power Usage Effectiveness:DC全体の消費電力/DC内のIT機器消費電力)は1.18を実現する。
一方、DC事業のグローバル展開としては、以下のような取り組みが行われる。
海外DCの拡充
NECの海外現地法人や現地企業との合弁会社が有するDCに加えて、国内外パートナー企業との協業によりDC拠点を拡充。また、NEC Cloud IaaSや神奈川DCの設計、開発、運用を通じて得たノウハウや技術を基に「クラウドリファレンスシステム」を整備した。
同システムを活用し、NEC自身が海外でクラウド基盤サービスを提供すると共に、顧客やパートナー企業に提供し、高信頼で拡張性のあるクラウド基盤サービスの早期立ち上げを実現する。
グローバルDC間ネットワークを仮想化
国内外におけるNECや顧客、パートナー企業のDCを結ぶDC間ネットワークを整備し、SDN(Software-Defined Networking)を活用して仮想化。これにより顧客は、従来よりも低コストで迅速に、また場所を意識することなく複数DC間でのICTリソースを調達できる。また、事業継続性向上のためのデータバックアップ、システムリカバリを効率的に実現した。
グローバルで統合した運用管理サービスを提供
グローバルで標準化した運用プロセスを活用し、国内外の運用管理機能を統合。これにより、高品質、低コストな運用管理サービスを提供している。