シスコ、“SDNを超える”「ACI」発表--アプリケーション側から物理と仮想のリソースを管理

齋藤公二 (インサイト) 2013年11月20日 10時31分

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 シスコシステムズは11月19日、データセンター管理のための新しいアプローチ「アプリケーションセントリックインフラストラクチャ(Applicaiton Centric Infrastructure:ACI)」を発表した。米国では11月6日に発表されている。

 ACIは、物理と仮想両方のネットワーク上のITリソースを可視化し、アプリケーションからポリシーベースでそれらを統合管理できるようにするデータセンター向け技術。Cisco Systemsの子会社Insieme Networksが中心となって開発が進められてきたもので、CiscoのSDN(Software-Defined Networking)戦略を具体化したものと表現できる。


Cisco Systems グローバルデータセンター/バーチャライゼーション担当シニアバイスプレジデント Frank Palumbo氏

Insieme Networks 最上級エンジニア Bradley Wong氏

 Ciscoのグローバルデータセンター/バーチャライゼーション担当シニアバイスプレジデントのFrank Palumbo氏は、「ACIはSDNの概念を取り入れながら、それをさらに一歩進めてソフトウェア、ハードウェア、ASIC(特定用途向けIC)などを統合的に管理しようというもの。Ciscoでは、ソフトウェアによるネットワーク仮想化だけでなく、より高いレベルから既存の物理的なインフラも含めて管理することが重要だと考えている」と説明した。

 ここで言う“既存の物理的なインフラ”というのは、分散並列処理プログラミングフレームワークの「Apache Hadoop」などのように非仮想化環境での利用が多いシステムやx86ベースのサーバ仮想化、ネットワーク仮想化には対応していないメインフレームやUNIX環境などを指している。

 ACIを構成するコンポーネントは、ポリシーコントローラ「Application Policy Infrastracture Controller(APIC)」、スイッチ新製品「Nexus 9000」シリーズ、ACIに対応したNexus向けOS「NX-OS」となる。

 ACIを具体的に紹介したInsiemeの最上級エンジニアのBradley Wong氏によると、APICはネットワーク上のITリソースを管理するための“シングルポイント”として機能するという。APICを使うことでエンジニアはこれまでのような“ボックスごと(Box Centric)”の管理ではなく、アプリケーション側(Application Centric)からの柔軟な管理が可能になるという。

 APICでは、SLAやQoS、セキュリティ、ロードバランシングなどを「アプリケーションネットワークプロファイル」を用いてポリシーベースで管理する。アプリケーション側からはNX-OSのRESTfulのAPI(JSONまたはXML)で制御できる。

 APICは、サーバの構成管理フレームワークであるオープンソースソフトウェア(OSS)の「Puppet」や「Chef」、「CFEngine」やPythonスクリプトなどのツールによる管理に対応する。加えて、IaaS構築管理ソフトウェアの「OpenStack」、SDNを実現するためのOSSのフレームワークである「OpenDaylight」、サーバ仮想化に対応した仮想ネットワークプロトコル「VXLAN」にも対応する。仮想化環境としても「VMware vSphere」「Hyper-V」「KVM」などのハイパーバイザに対応する。

 APICは、SDNコントローラとは異なり、データプレーンやコントロールプレーンから独立して動作するため、APICがオフラインの場合でもネットワーク上のエンドポイントの変化に対応できるという。

 スイッチのNexus 9000シリーズは、ACIのベースとなる。13ラックユニット(RU)で40Gigabit Ethernet(GbE)に対応(将来的には100G)した「Nexus 9508」、2RUで10GbE SFP+ポートと40Gpbs QSFP+ポートを搭載した「Nexus 9396PX」など3機種を提供している。

 いずれもVXLANや仮想スイッチの「NVGRE」にハードウェアレベルで対応している。ACIに対応したモードのほか、スタンドアロンのNX-OSモードでも動作する。2014年前半には9000シリーズを拡充する予定となっている。

 Palumbo氏とWong氏は、ACIの大きな特徴として、パートナーと作るエコシステムの存在を挙げた。11月6日の米国での発表時にはBMCやCA Technologies、Citrix、EMC、Embrane、Emulex、F5、IBM、Microsoft、NetApp、OpsCode、Panduit、Puppet Labs、NIKSUN、Red Hat、SAP、Splunk、Symantec、VCE、VMwareがACIのサポートを表明した。

 「ACIの取り組みはCiscoだけではできない。オープンスタンダードを取り込み、パートナーとエコシステムを作ってユーザーのニーズに応えていくことが大切だと考えている。競合他社も含めて、われわれの取り組みを支持してくれたことは、アナリストからも高い評価を得ている」(Palumbo氏)

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