マイナンバーにはデータ中心セキュリティで対応--オラクル、暗号鍵を一元管理する新製品

三浦優子

2015-02-24 17:38

 日本オラクルは2月23日、データ自身にセキュリティ対策をする製品やサービスの説明会を開催。取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の杉原博茂氏は「社長就任から11カ月になるが、“2020年にはクラウドでナンバーワンになる!”と言い続けている。クラウドに欠かせないのがセキュリティ。Oracleの最初の顧客がCIA(米中央情報局)で、顧客に磨かれ、製品のセキュリティ対策をしてきた歴史がある。テロに近いセキュリティ被害が出ている中、企業のコアとなるデータベースをどう守るのかが企業にとっての課題となっている。それを実現するソリューションをもっている」とセキュリティ面での強い知見を持っていると強調した。

 実際の対策として、これまで企業が取ってきたネットワークのエンドポイント対策ではなく、暗号化、アクセス制御、検知による多層防御を実装したデータ中心のセキュリティ対策の必要性をアピール。副社長 執行役員 データベース事業統括 三沢智光氏は「データセキュリティ対策を取っているという顧客も多いが、アプリケーションごとにポリシー設定をしている場合が多い。われわれはアプリケーションではなく、データベースにセキュリティを実装することで、バックエンドのデータベースからの侵入、膨大な数になるアプリケーションごとのポリシーへの対応といった問題を回避し、低コスト短期間で対策を取ることができる」と説明している。

杉原博茂氏
日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏
三沢智光氏
日本オラクル 副社長 執行役員 データベース事業統括 三沢智光氏

 かつてデータベースを暗号化する際にネックとなっていたパフォーマンスについても、アプリケーションを改修せずに実装でき、CPU内でデータの暗号化、複合化処理を実装できることから「ほぼパフォーマンス劣化なく暗号化できる」と説明。暗号鍵を安全、確実に管理する新製品「Oracle Key Vault」(税別価格は1サーバあたり543万4800円)を提供し、データを守る対策ソリューションを広くアピールしていく計画だ。

テロと呼ぶべき情報漏洩事件

 三澤氏は企業のセキュリティにデータを中心とした対策が必要な背景として、日本や世界各国で起こっている大規模な情報漏洩事件を挙げ、「最近起こっているのは、単純な情報漏洩事件というよりも、テロと呼んでいい、かなり危険な内容となっている」と指摘した。こうしたセキュリティ被害に対応するために、性善説に基づいた情報システムの実装からの発想転換とネットワーク中心のセキュリティ対策からデータ中心のセキュリティ対策への移行が必要だとしている。

 個人情報保護法のガイドライン改正、マイナンバー法施行でシステム側が対応すべき事項として、「個人情報保護法改正ではデータベースへのアクセスを制御すること、マイナンバー法ではアクセス制御、データ暗号化、ログ分析を定期的に行うといったことが安全管理措置としてガイドラインに明記されている」とデータベース対策が俎上に載っていると紹介した。

 内部情報漏洩が原因となった事件対策として、システム管理者や社内データベース管理者であっても、蓄積された情報そのものにはアクセスさせず、職務分掌、管理権限分割などを行い、さらに通常は作業時間ではない夜間はアクセスを制限するといったポリシー設定の厳密化も必要であると指摘した。

 「こうした設定ができる機能を持つデータベースはOracleだけ。競合他社のデータベースにはこうした機能が一切ない」とデータ漏洩対策機能を持つことが強みだと強調した。データベースを暗号化することで「データベース管理者よりも数が多い、OS管理者からのデータ漏洩対策となる」と、より厳格な内部漏洩対策となるとした。

 新製品であるKey Vaultは、暗号化の鍵を一元管理する。個別システムごとにバラバラな暗号鍵を一元的に管理し、管理の負担、コストを削減するとともに、紛失リスクを最小化する。管理者による鍵の改ざん、削除、持ち出しを防ぐことで、内部からのデータ漏洩を最小限に防ぐ。

 日本オラクルでは内部犯行対策やマイナンバー対応を支援する新サービスとして「Oracle Database Security スタートアップ・テンプレート」を提供する。内部犯行対策としては、特権ユーザーの業務データへのアクセスを制限する「Oracle Database Vault」の設計書と構築用サンプルスクリプトを提供する。

 マイナンバー対応としては、ガイドラインに基づいてどのような対策が必要かを判断できるヒアリングシートを無償テンプレートとして提供する。またマイナンバー対応の導入・設定テンプレートは、Database Vaultとともに、「Transparent Data Encryption(TDE)」と「Audit Vault and Database Firewall(AVDF)」の設計書と構築用サンプルスクリプトを提供する。

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