Oracle:徐々に下がる売り上げ
しかし、そのOracleでさえ、大変な問題を抱えている。Aerospikeのバイスプレジデント、Peter Goldmacher氏は「全てのレガシー系企業は死を迎えようとしている。(ただしOracleが)死ぬのは最後だ」と主張している。これは1つには、Oracleは、従来のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の中では、技術的に最も優れたデータベース製品だからだ。しかしもう1つには、Oracleが市場シェア第1位であり、多くのデータベース管理者の忠誠を得ているからということもある。
したがって、Oracleの死が大激変として訪れることはないだろう。むしろ、イギリスの詩人であるT.S.エリオットの有名な詩の一節にならえば、「(Oracleのデータベースの)世界はこのようにして終わる。激しい音ではなく、むしろすすり泣きのうちに」ということなのだ。
Oracleの新規ライセンスの売上高を見ると、その意味がはっきりする。何年もの間、同社の新規ライセンス売上高は、総売上高の37%程度で推移してきた。RedMonkのアナリストのStephen O'Grady氏が言うように、「クラウドの売上高を含めても含めなくても、Oracleの総売上高のうち新規ライセンスの販売によるものは明らかに少数であり、その割合は減少しつつある」のである。
下記のグラフ(図D)は、その状況だ。これもO'Grady氏の分析に基づく。
図D:オラクルの新規ライセンスによるソフトウェア売上高の比率(2000年~2013年の推移)
要するに、「Oracleのソフトウェア売上高の増加は、新規顧客からではなく、既存顧客から生じることが多くなっている」のである。それは、Oracleが、インストールベースからより多く利益を搾り取っているからであり、その傾向はさらに進んでいる。
しかし、この同じインストールベースが、NoSQLにふさわしい新しいワークロードを求めて、Oracleの先を見ているのは明らかだ。そうなると、従来のワークロードをめぐる争いは起きない。Oracle(あるいはSQL ServerやDB2)の上で問題なく動作するアプリがあるのなら、それを変える理由はほとんどない。
しかし、頻繁なデータタイプの変更を必要とするアプリや、水平市場の規模や、コモディティの規模から利益を得るような別のアプリには、そうした最新のワークロードを最新のデータベース上で動かした方が楽だろう。
未来を予想する
現在の市場シェアに激しい変動が起こることを期待すべきではない。最初の1組の円グラフで分かるように、現在では、業界のメディア露出から本当の動きが始まる。人々は、データに関する新たなニーズを持つようになるにつれて、そうしたニーズに対応するために、NoSQLシステムの中でも特にMongoDBやCassandraについて言及することが多くなる。
しかし、言及するだけならたやすいことだ。
NoSQLデータベース普及の次の段階が、雇用データに見られるのはそのためだ。絶対数で言えば、Indeedのデータが示す通り、MySQLはまだ、どのNoSQLシステムよりもはるかに多い。ただし、Oracle、SQL Server、MySQLの3つには、求人の絶対数に明らかな減少が見られる。
しかし、相対的な増加率を見ると、事態がどこに向かっているかが一段とはっきりする(図E)。
図E:Indeed.comの調査による求人トレンド
ビッグデータがさらにビッグになる中で、企業はますますHadoopやこうした主要なNoSQLデータベースに頼るようになるだろう。先に示したように、NoSQLデータベースが、増えつつある新しいワークロードのシェアを獲得するのと同じように、既存のワークロードのRDBMSの地位を奪うことはないだろう。
初めはMySQLに最も大きな影響が及ぶ。しかし時間とともに、Oracleを含めた全てのRDBMSがリスクを負うことになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。