ネットワーク・データセンターのインフラ
IoTによって生成される大量のデータは、ネットワークとデータセンターのインフラに大きな圧力をかけることになる。IoTのデータフローは、主にセンサからアプリケーションに向かうものであり、アプリケーションの種類によって、連続的なものもあれば、バースト的なものもある。
M2M/IoTアプリケーションのトラフィックパターンの例。
提供:oneM2M/Lucent Bell Labs
Gartnerが指摘するように、IoT関連のネットワーク接続とデータ量の規模を考えると、データセンターの管理モデルは分散的アプローチになる可能性が高く、複数の「ミニデータセンター」で最初の処理を行い、重要なデータだけをWAN接続を通じて中央に転送し、分析することになると思われる。これは、データのバックアップ(必然的に選択的なものになる)のストレージ、ネットワーク帯域、データセンターの容量計画にとって重大な問題となることが予想され、データセンターインフラ管理ツールが今後重要になるはずだ。一方Ciscoは、ネットワークのエッジでデータ処理を行い、場所やネットワークによる遅延の問題を回避する手法を指す「フォグコンピューティング」という言葉を新たに作った。これはIoTの特徴の1つとなるだろう。
分析ツール
IoTが生成するデータの量、頻度、種類(正確さの幅は言うまでもない)を考えれば、有用なビジネス上の知見を得るための分析ソリューションの選択や構築は簡単なことではない。ABI Researchが公表した、特にこの問題について扱った最近(2014年第4四半期)のアナリストレポートには、分析パイプラインの一部だけ(データ統合、データストレージ、分析とデータプレゼンテーション)を提供するベンダーについて1節を割くと同時に、IBM、Microsoft、Oracle、SAP、Software AGなどのフルスタックソリューションを提供するベンダーも紹介している。
スキル
IoTとビッグデータの組み合わせを扱うには、複数の分野にまたがるアプローチを必要とし、そこから最大の価値を引き出すには、専門的なスキルが必要となる。これには、2種類の人材が必要となる。利用できるデータから答えを得られる適切な問いを構成でき、意思決定者に結果を示すことのできるビジネスアナリストと、(急速に進歩している)分析ツール群を上手に組み合わせて使用し、分析パイプラインに入ってくる質が一定でないデータを見極めることのできるデータサイエンティストだ。ごくまれに、ビジネスアナリストとデータサイエンティストの役割を1人で兼ねることのできる(貴重な)人材もいる。
結論
これからIoT・ビッグデータ革命が起こるとしても、Gartnerのハイプサイクルが妥当なモデルだとすれば、今後は反発(いわゆる「幻滅のくぼ地」)とそこからの回復期(いわゆる「啓蒙の坂」)を経験することになる。今後一般に受け入れられていくためには、標準、セキュリティとプライバシー、ネットワークとデータセンターのインフラ、適切な分析ツールが利用可能になるかどうか、そしてそれらのツールからアクションを起こすことが可能な知見を得ることができる、事業分析とデータサイエンスのスキルを持つ人材が得られるかどうかといった障害を乗り越える必要がある。
それを乗り越えれば、Microsoftが発表した「HoloLens」が成熟すれば実現されるような拡張現実プラットフォームや、現実とIoTで強化された環境が入り交じった、情報が凝縮された中で普段から仕事をし、遊ぶような世界がやってくるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。