詩人になるべからず
また、コメントをする際に、詩人になる必要もありません。
「おお…!!きらめく光の中に立っている白い絹の衣をまとった美しい女性のようだ!」
このような意味不明な表現ははっきり言ってドン引きです。私の周りでも、あえて過剰な表現をして楽しむ『神の雫』ごっこが流行った時期がありましたが、ビジネスの世界では、ウケ狙いで勝負する以外は不要でしょう。
ここで声を大にしてオススメしたいのは、「口説き上手のすすめ」。つまり、ワインを飲んだら、いいところを見つけて褒めてほしいんです。意中の女性を全力で口説くつもりで。
色をみたら、「キレイな色ですね」。香りを嗅いだら、「いい香りですね」
一般の宴席の場では、ソムリエ並みの細かく的確なテイスティングコメントをされるより、その方が断然楽しく、盛り上がります。
ワインのコクや重さを表す単語に「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」と「ボディ」というキーワードを使いますが、その他にもワインを表現するキーワードは星の数ほどあります。
- 「ふくよか」「ボリューム感のある」「バランスの良い」
- 「若い」「熟成している」
- 「生き生きした」「爽やかな」
- 「なめらかな」、「シルキー」「エレガント」「ビロードのような」
などなど……。これらを見ていると、なんとなく人に対しても当てはまると思いませんか。
以前、さる殿方に言われて嬉しかったのが、「葉月さんと会った後は、いい映画を見た後のような余韻が残る」。思わず「余韻」で辞書を繰ってしまいました。ワインの表現でも「余韻が長い」というのは、最高の褒め言葉の1つです。
人にどう思われるかは気にせず、まずはワインを飲んで感じたことを、自分の言葉で表現してみる、そして長所を探してあげる。どんどん褒めてると、実際ワインが美味しくなる(感じる)んです。テーブルもいい雰囲気になってきます。いい雰囲気の中では、いいことが起こります。
口説く技術はデキメンの必須スキル。女性もワインも、ホメニャ損損。夜は短し口説けよメンズ。
- 青山葉月
- ライター/ワイン・エキスパート/俳人
- 大学卒業後、某大手通信企業でのシステム保守時代にワインに出会い、あっさりワインの道へ方向転換。「飲んで覚える」をモットーに、3年間で200回以上のワイン会、イベント、試飲会に参加し、2013年に独学でJ.S.A認定ワインエキスパートを取得。飲んだワインは5000本以上。現在はフリーランス活動を開始し、ライターとして情報を発信するほか、都内のワイン・バーにてソムリエールとして勤務。また、ワインイベントの企画プロデュース、サロン運営を通してワインの魅力を伝えている。趣味で俳句をたしなみ、最近はワインを俳句で表現することを楽しんでいる。このコラムでは、ビジネスマンに役立つワイン・ネタをお届けしたいと思います。