Tableau Softwareは、Pixarの初期メンバーが立ち上げた会社で、グラフィックスをビジネスの世界に活かすというユニークなアプローチでビジネスインテリジェンスのソフトウェアを提供している。日本法人は2012年11月に設立され、2013年1月から本格始動、BIのエリアで急激に伸びている。その特徴や戦略などを、Tableau Japanの社長である浜田俊氏に聞いた。
--Tableau Japanは、どのような会社か。

Tableau Japan 代表取締役社長 浜田俊氏
米Tableau Softwareの日本法人で、業種としてはビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアを扱っています。1997年にスタンフォード大学の研究室から始まって、2003年にTableau Softwareとして起業しました。創業者の一人であるPat Hanrahanは、3回アカデミーを受賞しているアニメーションスタジオであるPixarの創業メンバーの1人です。
つまり、Steve Jobs氏と一緒にPixarを作ったメンバーです。Pat Hanrahanがスタンフォード大学で教鞭を執りながら次に考えたことは、グラフィックスをなんとかビジネスの世界で使えないかということでした。それで出来上がったのがTableau Softwareです。
そのため、Tableau Softwareは従来のBIソフトウェアと生い立ちが全く違います。従来のBIはまずデータがあって、それをグラフで表示したいというニーズに対して専門家の方々が作成したものです。一方、Tableau Softwareはグラフィックを専門にしていた人たちが、それをビジネスに生かせないかということで作られたものです。生い立ちの違いから、Tableau Softwareには従来のBIソフトウェアとの大きな違いが2つあります。
1つはスピード。描画速度が全く違います。Pixarの映画でグラフィックスが遅かったら誰も見ようとは思いませんよね。そのグラフィックのソフトウェアが土台にあるので、大量で複雑なデータもすぐにグラフ化できます。もう1つの違いが生産性です。ITの世界で生きてきた人たちは、コマンドを入れることが普通になっています。Excelもコマンドを入力しますよね。しかし、グラフィックスの世界で生きてきた専門家たちにしてみれば、コマンドによる操作なんて「あり得ない」わけです。
--BIには、すでに多くのプレイヤーがいる。そこでの勝算は何か。
価格あるいは規模といった製品と企業を示す指標「マジッククアドラント」でいくと、これまでのBIは複雑で高価で大規模向けでした。ほとんどのプレイヤーがこの領域に位置しています。しかしTableau Softwareは、シンプルで低価格というところから入りました。安くて簡単なBIなので、ファンがどんどん増えています。この動きがさらに盛り上がれば、われわれにとっての「レッドオーシャン」が「ブルーオーシャン」に変わります。
複雑で高価なBIを提供しているプレイヤーは入れないエリアですから、競合がいないわけです。
さらに言えば、複雑で高価なエリアはIT部門、シンプルで安価なエリアはエンドユーザーという捉え方もできます。今までは、IT部門の人たちが複雑で高価なBIの導入を決めて、エンドユーザーに「使え」と言っていました。しかし、そういったBIはコマンドを入れなければならないし、遅くて使えない。結局彼らはExcelで全部やるしかなかったわけです。そこにTableau Softwareのファンが増えて「これを使いたい」とIT部門に働きかけたら、IT部門はRFP(提案依頼書)を出せませんよね。