内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

テクノロジの転換期に思うこと - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2015-04-13 12:15

イノベーションのジレンマ

 そして、もう1つ言えることは、1つのパラダイムで大きな成功を収めた者ほど、次のパラダイムに適応するのが遅れがちになるということです。

 これは「イノベーションのジレンマ」としてよく知られています。IT業界に限らず世の中では、変わろうとしない者と、変わろうとする者との戦いがいつも繰り広げられています。

 例えばユーザー企業においては、ビジネス貢献に大きく舵を切ろうとするIT部門と、従来のように社内システムの開発や運用を確実に遂行していくべきだとするIT部門があります。システムインテグレーターにも、これまでの受託開発やSE派遣の事業を堅持しようとする企業と、クラウドやコンシューマーITに活路を見出そうとする企業があります。

 IT技術者にも、これまでのシステム開発手法を極めていこうとする技術者と、アジャイル開発やオープンソースソフトウェアなどを次々に取り入れていこうとする技術者がいます。これらのどちらかが間違っていて、どちらかが正しいというものではないと思います。長期的な戦略と短期的な戦術が異なることもあります。

 しかし、いずれの立場を取るとしても時代の流れを読むことが非常に重要だといえます。本連載では、ビジネスとITの少し先の未来を見据えつつ、グローバルな視点、イノベーションへの取り組み、技術の趨勢などについて、客観と主観を織り交ぜて論じていきたいと思います。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立・のアドバイスおよびコンサルティンを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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