富士通と富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は4月14日、聴覚障がい者参加型コミュニケーションツール「FUJITSU Software LiveTalk」を発表した。税別価格は5ライセンス1セットで20万円。5月中旬から販売する。
会議や授業など複数人が情報を共有する場で発話者の発言を音声認識し、即時にテキストに自動変換して複数のPCに表示することで、聴覚障がい者を含む参加者全員がリアルタイムに情報を共有できるという。総務省の2013年度情報通信利用促進支援事業費補助金の採択を受けて研究開発された。
LiveTalkの利用イメージ(富士通提供)
LiveTalkは、ハンドマイクやヘッドセットマイクを通して発話を音声認識し、テキスト化した文字情報をリアルタイムにPCやタブレット端末の画面に表示して文字でコミュニケーションする。テキストは、同一の無線LANルータ環境で接続されたすべての端末に対しリアルタイムに転送される。音声認識技術には、アドバンスト・メディアの音声認識ソフトウェア「AmiVoice SP2」を使用している。
複数人が同時に発言した場合も、テキスト化を平行処理しながら同時に表示することで、話の流れを正確に把握できると説明。テキスト化された発言内容に誤りがあれば、その発言をPCから修正できる。キーボード入力のほかにも、直感的に意思を表示できるスタンプ入力や使用頻度の高い文章を登録して発言する定型文入力機能で誰もがスピーディーに発言できるとしている。
無線LAN通信による発話のリアルタイム表示(富士通提供)
LiveTalkの画面イメージ(富士通提供)
これまで聴覚障がい者と健聴者が同じ環境でともに働いたり学んだりしていく上で必要であった筆記通訳などがなくても円滑な双方向コミュニケーションを実現すると説明する。LiveTalkで聴覚障がい者と健聴者のコミュニケーションが円滑に図れ、聴覚障がい者の職域や教育の場の広がりが期待できると説明する。
富士通と富士通SSLでは、今後もLiveTalkの機能開発を重ねていくことで、会話ログの保存や議事録などの作成支援へと応用を広げていく予定。今後も聴覚障がい者とのコミュニケーションの課題解決に取り組み、日常的なものから専門性や緊急性の高いものまであらゆる音声が可視化され、さまざまな場面で情報保障が可能となるような快適で安心な社会づくりを目指していくとしている。