GoogleやYandex、Microsoftはいずれも、Nokiaのふるさとでもあるフィンランドにデータセンターを設置している。エネルギーや気候、税制といった面で好条件を備えているフィンランドは、データセンターが目指すべき約束の地となり得るのだろうか?
フィンランドはかつて、林業と携帯電話メーカーのNokiaで知られていたが最近、新たな経済成長の源を探す必要に迫られている。新興企業シーンではゲームの流行という波に乗り、Rovio EntertainmentやSupercellが大きな成功を収めているが、フィンランドという国そのものは北極に近いという地理的特色と安定した環境を前面に押し出し、グローバルデータハブになりたいと考えている。
データ容量が指数関数的な増加を見せるなか、新たなデジタルインフラに対するニーズも増加している。コンサルティング会社Boston Consulting Group(BCG)は、2020年までに欧州で60を超える大規模データセンターが新設されると予測している。そしてフィンランドは、そのうちのかなりの数を誘致できるだけの十分な手札が掌中にあるはずだと考えている。
フィンランドは、同国にデータセンターを建設しているGoogleやYandex、Microsoftのおかげで良いスタートを切っている。また、北欧の調査会社であるOxford Researchは最近、Googleの依頼により「Finland's Giant Data Center Opportunity」というレポートを作成しており、そこではこれら投資の合計が13億ユーロという莫大な額におよんでいるとされている(ただし、一部の投資はまだ実現されていない)。
フィンランドの望む成長はまさしくこの種の巨大データセンターによってもたらされる。Oxford Researchは、海外からのデータセンター投資によってフィンランド国内に最大5万年分の雇用が生み出され、今後10年以内における経済に対する影響を合計すると最大110億ユーロに達すると見積もっている。
Oxford Researchのシニアアナリストであり、同レポートの共同執筆者でもあるJussi Nissila氏によると「われわれのレポートでは巨大データセンターに対する投資をフィンランドに呼び込むことが下敷きになっている」と述べるとともに、「世界規模のコンテンツサービスプロバイダーが建造しているいくつかの巨大データセンターだけで、われわれの見積もった値が導き出され、その値は経済的な価値連鎖全体に影響を与える」と述べている。
Nissila氏は、フィンランド東部のハミナに建設され、2011年から稼働しているGoogleのデータセンターを例に挙げた。Googleは現在までにこのデータセンターに対して8億ユーロの投資を発表している。また、施設自体は230人の雇用を生み出し、その建設時には建設現場で最大1800人の雇用を生み出した。つまり、データセンターは雇用を生み出しただけでなく、経済全体に影響を与えたのだ。
ハミナにあるGoogleのデータセンター
提供:Google