カカクコムは、新規サービスの迅速な立ち上げやスモールスタートに寄与するため、各種サービスの基盤として構築、運用しているプライベートクラウド環境において、ビジネスの成長に伴い高いパフォーマンスが求められるようになってきたことから、次期プライベートクラウドを支える新たなストレージを導入した。EMCジャパンがユーザー事例として公開した。
カカクコムでは2012年、それまで使ってきたパブリッククラウドに代えて、各種サービスの基盤となるプライベートクラウドを構築。新規サービスの迅速な立ち上げやスモールスタートの実現などのメリットが得られ、スピード面でもコスト面でも有利になったという。
しかし、スモールスタートで始めたサービスも、規模が大きくなるにつれて性能要求が厳しくなり、当初構築した環境のリソース使用率が限界に近づいていったとのこと。
こうした課題から、同社ではプライベートクラウドの第2フェーズとして新たな基盤の構築に乗り出した。今回はパフォーマンスを重視して、性能低下の要因となるボトルネックを作らないよう、ハイパーバイザにはXenServerの最新版「XenServer 6.5」を採用、物理サーバも最新世代のCPUを搭載した製品を活用するなど、インフラを構成するすべてのコンポーネントにおいて最先端技術を活用するようにした。
導入構成図
ストレージに関しては、I/O負荷が特に重いDBサーバなどの仮想化にも対応できるようにフラッシュストレージを検討、複数製品を比較した結果、EMCのオールフラッシュスケールアウトストレージ「EMC XtremIO」の採用を決定した。
重複排除、圧縮、シン・プロビジョニング(アプリケーションやサーバに割り当てているストレージを、実際の物理ストレージのディスク容量よりも、多くの領域を使えるように見せる技術)の3つの機能を兼ね備えたフラッシュストレージであることや、「予期せぬ突発的なアクセス増にも対応できる強力なI/O性能」「長期利用や高I/O負荷でも変わらない一貫したレスポンス」「サービスの成長に即応できる柔軟な拡張性」といった点を評価したとのこと。
新たなプライベートクラウドは3月から本番稼動を開始し、まず既存プライベートクラウド上で稼働中のシステムの移行が行われた。現状では2台の「XtremIO Starter X-Brick」に各4台の物理サーバという構成だ。
XtremIOの重複排除、圧縮、シン・プロビジョニングの3つの機能により、本来なら合計1.5Tバイト程度の容量が必要なところ、5分の1程度の実容量に収まっているという。また、性能や安定性も大幅に向上したとのこと。また、インフラのコストを下げることができたため、ビジネス面でも新たなチャレンジが可能になった。
新基盤におけるデータ削減効果により、従来型のストレージと同程度のコストでフラッシュストレージを導入でき、加えて俊敏性と柔軟性が得られるようになったとしている。