「Google Cloud」のコストを安く設定するだけでは十分な競争力を発揮できなかった。しかし、Googleの内部テクノロジにアクセスできるというのであれば話は違ってくる可能性がある。本記事では、「Google Cloud Bigtable」のメリットと課題について解説する。
Googleはクラウド分野でその潜在能力を生かし切れていなかった。しかし、その状況がようやく変わろうとしているのかもしれない。
「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」がクラウドコンピューティング市場のシェアの多くを握っている一方、Googleはほとんど動きを見せず、「Google Cloud Platform」が開発者にもたらす利点(特にAWSと比較して)を明確に語れない、もしくは語ろうとしない状況が続いていた。しかし、米国時間5月6日に発表されたGoogle Cloud Bigtableによって、同社はクラウド分野の競合他社よりもGoogleのサービスを選択すべき明確な理由をついに打ち出してきた。
「Googleのようなスケーラビリティと処理能力を手にする機会がもたらされる」というのがその理由だ。
クラウドの、そしてクラウドのための
Google Cloud Bigtableに関する発表を表層的に見た場合、現在200種類以上もあるデータベースの選択肢に新たなNoSQLデータベースが追加されただけでしかない。
同社はGoogle Cloud Bigtableが「業界標準となっているオープンソースの『Apache HBase API』を通じてアクセス可能な、フルマネージド型で高性能かつ極めてスケーラビリティの高いNoSQLデータベースサービス」だと語っている。しかし、なぜこれがAmazonの「Amazon DynamoDB」やMicrosoftの「Azure DocumentDB」よりも優れているのだろうか?
さらに言えば、NoSQLデータベースの3大巨頭である「MongoDB」や「Apache Cassandra」「Apache HBase」のアンマネージドインスタンスよりも優れているのだろうか?
おそらくその答えは、Google Cloud Bigtableの「エンジン部分」が、同社のほとんどの基幹アプリケーションに力を与えているデータベース「Bigtable」そのものだという点にある。あるいはGoogle Cloudソリューションのグローバル担当責任者であるMiles Ward氏が筆者に語ったように「Googleは大規模な実行処理におけるより多くの経験を何年にもわたって培ってきている。こういったことを他のどこよりも長い間実践してきているのだ」という点にある。
今や同社は、Googleのトレードマークとも言える「The Google Way」(グーグル流)に至る鍵を販売している。