Microsoftは、最高のパフォーマンスを有するブラウザを提供する競争で、長期にわたり競合に後れを取ってきた。
Googleは「Google Chrome」の体感速度と応答性を高めることに注力し、やや遅さを感じる「Internet Explorer」(IE)から膨大な数のユーザーを奪った。
Microsoftは、「Windows 10」のリリースによって現状を打破し、最速のブラウザを提供したい考えだ。
この目標を達成するため、同社は新ブラウザ「Microsoft Edge」がJavaScript(JS)を処理する仕組みの改良に取り組んでいる。JavaScriptはウェブの標準的なスクリプト言語だ。JavaScriptはモダンなウェブの中核をなす。JavaScriptの処理が遅いブラウザは、全体的な処理速度も遅い。あらゆるブラウザの中心部にJavaScriptエンジンがあり、JavaScriptを解釈して実行する。
Edgeも旧ブラウザの「Internet Explorer 11」(IE11)と同様、「Chakra」JSエンジンを使用するが、MicrosoftはWindows 10でEdgeの処理速度を高めるため、Chakraを調整してきた。
Microsoftが実施したベンチマークによると、この微調整により、EdgeブラウザのパフォーマンスはIEだけでなく、ChromeやMozilla「Firefox」の最新実験ビルドも上回ったという。
「Octane」と「JetStream」はJavaScriptのパフォーマンスを測定するベンチマークだが、重要なのは、これらのベンチマークを開発したのがMicrosoftではなく、同社の競合だということだ。OctaneはGoogleが、JetStreamはAppleが開発した。
Edgeは「Octane 2.0」ベンチマークでIEの2.25倍、JetStreamベンチマークで1.6倍の速度を記録した。
「重要なのは、Microsoft Edgeが改善されたJavaScriptのパフォーマンスに関して、ベンチマークでも今存在する現実世界のウェブでも、既にIE11から大きな進歩を遂げていることだ」。MicrosoftでChakra担当プリンシパルPMマネージャーを務めるGaurav Seth氏は、ブログ記事でこのように書いている。
「最初に述べたように、パフォーマンスの追求には終わりがない。Microsoft Edgeで、JavaScriptパフォーマンスの限界を押し上げる取り組みを今後も続けていく」(Seth氏)
参考までに、EdgeのOctaneでのパフォーマンスは、TechRepublicが2015年にベンチマークを実施したときの記録を上回った。そのとき、EdgeのスコアはIEより8.8%低かった。
Edgeが優位に立った最新のパフォーマンステストの結果を確認するため、TechRepublicは同じブラウザを使って、Microsoftが実施したテストを再現した。OSは64ビット版Windows 10テクニカルプレビューの「Build 10122」を使用した。
テストは東芝の「Portege」ノートPCで実施した。PortegeはIntelの2.1GHzの「Core i7 4600U」プロセッサ、8Gバイトのメモリ、256GバイトのSSDを搭載する。
Edgeはこのテストで1位にはならなかったが、優秀な成績を収めている。OctaneテストでIEのスコアの1.78倍、「Firefox Nightly」の1.05倍となった。EdgeはOctaneで「Chrome Canary」のスコアを6%弱下回ったが、JetStreamではChromeに肉薄し、Chromeをわずか3%だけ下回るベンチマークスコアを記録した。
TechRepublicのベンチマークで、EdgeはMicrosoftが公開したものと一致する結果を出すことはできなかったが、著しい進歩を遂げ、IEを抜き去り、Chromeのパフォーマンスに迫りつつあるようだ。
Edgeは現時点では最も高性能なブラウザという称号を奪うには至っていないようだが、今も改良は続いており、Microsoftはようやく、ブラウザ戦争で競合に対抗できる製品を作り出したようだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。