クラウドシフトは追い風--ネットアップ、クラウド統合型バックアップ製品

大河原克行 2015年06月02日 07時45分

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 ネットアップは、クラウド統合型バックアップ/リストア製品「NetApp AltaVault」を発表した。2014年にRiverbedから買収して製品化した「NetApp SteelStore」を刷新したものになる。6月1日から代理店やシステムインテグレーターを通じて販売。パブリッククラウド事業者のマーケットプレイスを通じた時間課金による仕組みでも提供する。

 今回新たに発表したAltaVaultは、主に企業のデータセンターを対象にした物理アプライアンスに加えて、既存サーバの中で利用するために、「VMware ESX」と「Microsoft Hyper-V」をベースとした環境向けの仮想アプライアンスも用意。「Amazon Web Services(AWS)」と「Microsoft Azure」のパブリッククラウド向けアプライアンスを含めた3つの形態で提供する。プライベートやパブリック、ハイブリッドとあらゆるクラウド環境でバックアップが可能になり、自社内でバックアップ環境を構築する場合と比較して、最大で90%のコストを削減できるという。

篠木隆一郎氏
ネットアップ マーケティング本部 戦略企画推進室長 篠木隆一郎氏

 「経済性に優れたバックアップを実現するとともに、最も拡張性を持ったバックアップソリューションがNetApp AltaVaultとなる。ネットアップの製品だけでなく、他社製のストレージにも対応しているほか、現在、22のパブリッククラウドをサポートしている。ここまで幅広いサポートをしているソリューションはほかにはない」(マーケティング本部 戦略企画推進室 室長 篠木隆一郎氏)

 インラインの重複排除と圧縮機能で最大30分の1にまでデータ容量を減らせるという。クラウド上に保存するデータ量を抑え、クラウド上へのデータ移行を高速化できるとしている。他社のクラウド統合型ストレージに加えて6倍以上の拡張性を備えており、ユーザー企業が重要なデータをクラウドに保存し、必要な時にデータを迅速に書き出せるという。

 ネットアップのバックアップ/リカバリ管理ソフトウェア「NetApp SnapShot」だけでなく、ユーザー企業が使用している、他社製バックアップソフトウェアからも利用できるようにしているという。

杉本直之氏
ネットアップ システム技術本部 シニアクラウドアーキテクト 杉本直之氏

 システム技術本部 シニアクラウドアーキテクトの杉本直之氏は「“Disk to Disk to Cloud”の仕組みをはじめとして、クラウド時代に即した新たなバックアップ方式を実現しているのがNetApp AltaVaultの特徴。GUIベースのシンプルな運用管理を実現し、30分程度で設定が完了する。AES256ビットによる暗号化や圧縮、重複排除などでデータの高いセキュリティ保護機能と効率性を実現している」と優位性を強調している。

 「ディザスタリカバリでも最適になるほか、バックアップの最新化、クラウド統合バックアップの実現、コールドストレージやアーカイブストレージとしての活用も可能であり、クラウドを利用した経済性に優れたバックアップとアーカイブ環境の構築が可能になる。すでに、テープによるバックアップソリューションよりもギガバイトあたりの単価が低くなっている」(杉本氏)

 篠木氏は、「企業では、リカバリやバックアップが低速である、ストレージが増大するのに伴いバックアップコストが高くなるといった課題のほか、従来から利用されているテープでは紛失の問題が発生したり、ダウンタイムの長時間化などによってリスクが高くなったりという課題もある。複数のバックアップアプリケーションでも、数百におよぶバックアップジョブを管理するなど、バックアップの環境が複雑になっているという課題がある。こうした課題を解決できる」と強調した。

 製品は容量やパフォーマンスにあわせてモデルを容易。物理アプライアンスの「NetApp AltaVault AVA400/800」の最小構成価格は2150万円から。仮想アプライアンスの「NetApp AltaVault AVA-v8/v16/v32」は最小構成価格が480万円から。パブリックラウド向けアプライアンスの「NetApp AltaVault AVA-c4/c8/c16」を用意。価格はAWSとAzureのマーケットプレイスで公表されることになる。

 AltaVaultは、用途に応じて、それぞれバックアップモードとコールドストレージモードを利用できる。物理アプライアンスのAVA400の場合、バックアップモードでは使用可能なローカル容量は32T~192Tバイト、サポートするクラウド容量は160T~960Tバイト、クラウドの論理容量は29Pバイト、バックアップのスループットは1時間あたり5.5Tバイトとなっている。

 AltaVaultを90日間無償で利用できる施策も展開する。無償版は、ウェブサイトからダウンロードできる。

バックアップもクラウドに進む

 同社では、「ネットアップデータファブリック」を提唱している。篠木氏は「現場の顧客の要求からデータファブリックのビジョンを生み出した。それを実現するために数々の製品群を投入しているが、今回発表したNetApp AltaVaultは、ネットアップデータファブリックを実現する上で、バックアップに特化した新たな製品として提供するものになる」と説明した。

 「オンプレミス環境も含めた形で、クラウドサービスプロバイダーとプライベートクラウド、ハイパースケールクラウドの3つのクラウドを連携させられるのが特徴であるとともに、データアクセスの容易さ、適切な配置とともに、これらの格納したデータを自由に動かせることができる環境を実現できる」(篠木氏)

 クラウド連携を前面に打ち出しているネットアップは、データバックアップ環境がクラウド上へと進展することは、むしろ追い風だとする。

 篠木氏は、「IDC Japanの調べによると、ストレージ管理でバックアップの効率化は最大の課題となっている。保守的といわれる大企業でもデータの保存場所をクラウドへとシフトする傾向が出ている。大企業では現在、69.2%の企業が、自社所有の外付けストレージにデータを格納しているが、今後2年以内に新たに追加するデータ格納場所では、自社所有の外付けストレージは、わずか6.0%に限定されている」と状況を解説した。

 「今後の国内ストレージ市場は1800億円規模で、横ばいで推移するとみているが、それは今後、クラウドへとシフトする傾向が強まると考えているからだ。ストレージ市場の成長が見込まれないことは、ストレージベンダーにとっては不幸な状況にあるが、ネットアップにとっては新たなビジネスチャンスが生まれ、むしろ幸運な状況だといえる」(篠木氏)

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