ビッグデータ、モバイルなどのITトレンドにより、データの増加にさらに拍車がかかっている。同時に、データの重要性も高まっており、いかに効率よくデータをバックアップし、いざという時に備えるかが無視できない課題となっている。
Dellはソフトウェアを強化しエンドツーエンドのソリューションベンダーを目指すという目標のもと、数年がかりでこの分野でポートフォリオを構築してきた。2014年11月にこの分野の主力製品「AppAssure」を日本でも提供開始したところだ。
この分野のトレンドや戦略について、同社のデータ保護ソリューション担当ジェネラルマネージャー、Brett Roscoe氏、そして製品開発担当ディレクターのPaul Davis氏に聞いた。
--データ保護分野のポートフォリオについて。2014年11月に国内でも「AppAssure」の提供を開始したが、このほかにどのような製品を揃えるのか? ターゲットとする市場は。
Roscoe氏この5年間、データ保護分野のポートフォリオ拡充を進めてきた。
AppAssureはその中核となる技術で、2012年の買収により取得した。SMB--特に中規模企業をターゲットとしたもので、次世代のバックアップリカバリ技術を提供する。スナップショットレプリケーションベースのエンジンを搭載し、増分のみのバックアップが可能だ。アプリケーションを常時監視して変更があったら変更部分のみをバックアップして保護する「Change Block Tracking」機能により、バックアップを大幅に効率化できる。
5分間隔でスナップショットを取得可能であり、「Virtual Standby」「Live Recovery」などの機能によりアプリケーションを別の物理環境、仮想環境、またはクラウド環境で動かす事ができる。これにより、メインのデータセンターを停止して作業したいとき、あるいはディザスタリカバリー対策として利用もできる。
大規模企業向けには「NetVault」がある。Windows、UNIX、LinuxなどさまざまなOSとアプリケーションに対応、クライアントは数千単位に拡張できる。大企業のほか、MSP(マネージドサービスプロバイダ)パートナー向けにも提供している。
仮想環境向けに設計した製品として「vRanger」も備える。VMware、Microsoft Hyper-V環境を保護するもので、物理環境のWindows Serverのバックアップとリカバリも可能だ。例えばvSphereから環境管理ができるプラグインなど相互運用性もある。
これらのソフトウェアに加えて、アプライアンスとして「DR 6000」「DR 4100」なども展開している。データ重複排除と圧縮技術をあらゆる環境で利用できるもので、Dell以外のバックアップソフトウェアを利用できる。通常のバックアッププログラムは同じデータを何度もバックアップするため重複があるが、このような無駄を排除できる。
現在使用しているバックアップソフトウェアはそのままで、ストレージシステムの最適化や性能を強化したいという顧客向けで、6000は大規模向け、4100は中暑規模企業向けとなる。この製品ラインでは先に、仮想環境向けの「DR 2000」も発表した。リモートオフィス向けと位置付けている。
まとめると、AppAssureは中規模向け、NetVaultはエンタープライズをターゲットとし、DRはDell以外のバックアップリカバリツールを量する顧客向けに重複排除技術を提供するものとなる。つまり、全体であらゆる規模の顧客に対応できる。