--データ保護分野の技術トレンドは。
Roscoe氏この分野はさまざまな技術革新が進んでいる。中でも、われわれの製品の特徴である重複排除技術は、シーケンシャルベース、バッチプロセスなどのこれまでのデータ保護を変えるものとなる。夜中にテープをバックアップするというバックアップから、スナップショットベースの技術により、5分おきでのバックアップも可能だ。ほぼリアルタイムでデータセットにアクセスできるようになり、ほとんどの場合でデータの損失がなくなるといえる。
アプリケーションの一貫性を保つ形での保護が可能になる点も重要だ。アプリケーションを保護することで、データではなく、メタデータ、アプリケーションの状態、システムの状態なども保護の対象となる。復旧が必要になった際、OS、アプリケーション、データをそれぞれ復旧する必要がなくなり、アプリケーションを仮想マシンとしてスタートし、リアルタイムで利用できる。これもAppAssureで実現している。
このように、データの保存と移行をいかに効率よく行うかを焦点に、技術革新が進んでいる。これら最新のデータ保護技術を利用することで、顧客のディザスタリカバリプロセスを大きく短縮、簡素化できる。これまでばらばらだったバックアップとリカバリが、共通のツールを用途に合わせて利用できるようになる。
--クラウドとコンテナはデータ保護にどのような影響を与えるか。
Roscoe氏クラウドはプライベートクラウド、パブリッククラウド、ともに重要なトレンドだ。ベンチャー企業の中にはクラウドでスタートするところも少なくない。われわれはクラウドのバックアップ、ローカルサイトをバックアップしてクラウドに複製を作成する、クラウドからクラウドへのバックアップなど、幅広い用途をサポートしていく。これにより、バックアップのターゲットとしてクラウドを利用する顧客、アプリケーションのフェイルオーバーのターゲットとしてクラウドを利用する顧客、低コストのアーカイブ先としてクラウドを利用する顧客など、さまざまなクラウドの使い方に対応できる。
あわせて、サービスとしてのバックアップを提供するMSP(マネージドサービスプロバイダ)も支援している。われわれのパートナーの中にはマネージドサービス事業の展開が増えており、Dellやその他のツールを利用して自社顧客にBackup as a Serviceを提供している。これらMSPがさまざまな顧客に対応するため、課金、管理、顧客向けトラブルシューティングなどのツールセットを提供している。例えば、DLシリーズでは、MSP向けにローカルキャッシュ機能やクラウドコネクタを持つ「DL1000」を発表した。
コンテナは新しいトレンドで、研究開発を進めているところだ。データ保護分野に対しては2つの方法が考えられる。1つ目は、どのようにコンテナを保護するか、2つ目はソリューションの実装としてのコンテナ利用、だ。われわれとしては2つに対応していく。1つ目ではコンテナベースのインフラも保護するロードマップを持っており、製品の開発と提供を進める。2つ目では、データ保護コンテナを作成してコンテナとして実装して環境を保護するもので、物理的なアプライアンスに加えて、コンテナ、仮想マシン、バーチャルアプライアンスを実装してDellの製品を利用できるようにしていく。
--データ保護はこれまで対策が後回しになっていると指摘されてきた分野だが、意識は変わりつつあるのか。モバイルはデータ保護にどのような影響を与えているか。
Roscoe氏全体として、これまでのバックアップ手法では限界が出てきたという意識がある。データが増加しており、これが企業にとって課題となっているためだ。データは増えてもIT予算は変わらないという企業が多く、効率良く保護する方法を模索する動きがある。
また、仮想化のトレンドも後押ししている。コンテナもそうだが、仮想化はITインフラ側には効率化というメリットがあるが、どのようなツールで管理できるのかが課題となっている。
モバイルについては、業務での利用が増えており、重要な情報がモバイルで作成・保存されている。データ保護では、これらエンドポイントデバイズでの同期が重要となり、どちらかというと(IT部門というより)タブレット、ノートPC、モバイルなどの端末で同じデータにアクセスして利用したいというユーザー主導で進展している。
エンドポイントは単なる保護から同期にフォーカスが拡大している。企業の中には積極的なところもあれば、エンドポイントでのデータ損失が大きなリスクになるとやっと気がつき始めたところもある。われわれはここでも製品を提供している。
Davis氏自然災害などのディザスタに対しては、特に小規模企業で意識が変わってきたと感じている。データの重要性が高まってきたこと、復旧時の手間やコストを考えると対策を講じておく必要があるという認識が広がっているようだ。
また財務担当や経営層の関心が高まっており、これも後押しになっている。